モンゴルの風と星、大きな空、そして遮るもののない大草原 その2-MATCH 松宮英範氏
今回草原滞在中に、一生に一度という稀有な体験をしました。羊の解体です。遊牧民の子に男として生まれたら、子供の内から教えられるモンゴル式の解体。苦手な人は読み飛ばしてください。
まず、生きた羊を仰向けに寝かせます。草を追い、ずっと下ばかり見ている羊に最後に空を見せる為とも言われています。腹部にひと筋ナイフを入れ、その切り口から手を入れて羊の大動脈を切るとすぐに生きたえます。羊は声を出すこともありません。モンゴルでは血を一滴も大地に落とさず臓器や血も余すことなく頂きます。見事なナイフさばきで皮を剥ぎ、骨を断ち、肉と内臓を切り分けて行きます。30分ほどかけてゆっくり丁寧に行われました。解体された羊はすぐに調理されて、そのまま夕食に出されます。羊の血を腸詰めしてボイルした「血のソーセージ」や心臓・肺・レバーなどお肉以外も皆で美味しくいただきました。厳粛で尊い体験でした。
さて、草原を後にしウランバートルでは、大使館訪問や観光関連の商談会などしっかり行なった後、参加者一行は二手に分かれます。B班はさらに2泊して南のゴビ砂漠へ行くのです。行きは国内線を利用しますが、帰りはフライトなく7時間のロングドライブ…。ハードな日程に恐れをなした訳ではないのですが、忙しい我が身を勝手に案じ、行けない言い訳を見繕ってショートコースで帰国しました。
今、私はロングコースに参加してゴビ砂漠に行かなかったことを激しく後悔しています。B班が撮影してくれた写真を見ながら、チャンスに恵まれながら、それを活かせない自分が悲しい。誰かに迷惑かけること、後で自分が大変になること、残っているスタッフへのどこか後ろめたさなど、全てそれも本当なのですが、それでも思い切ってゴビ砂漠へ行くべきだった…後で挽回することなどいくらでも出来るはず。せめて行けなかった想いを抱えてモンゴル再訪に繋がるといいなぁと願いつつ、ひ弱な自分の戒めにしています。
最後にモンゴル観光の基本情報についてお知らせします。夏季スケジュールでは成田から週に9便、関空から週に2便、ウランバートルまで直行便が飛んでいます。フライト時間は約5時間、今はMIATモンゴル航空だけですが、JALも検討中?だとか。時差はマイナス1時間で物価も日本よりは少し安い。治安も悪くなく、Wi-Fiも携帯も草原では一部制限されますが、何とか通じます。もっと遠くて未知の国と思っている一般の方は多いので、この情報だけでも伝えるとより身近になると思います。ちなみに韓国からモンゴルの直行便は7社が飛び交い、なんと週100便です。街中たくさんの韓国人を見かけました。コンビニも韓国大手の2社のみ。今はそんな状況ですが、いつか日本が逆転する日がくるのではと夢想しています。
株式会社MATCH代表。大学卒業後、大手旅行会社で26年勤務。主に富裕層向けの海外ツアーを手掛ける。50歳を機に、コロナ禍の2021年に独立起業し、ニッチなホテルのプロデュースと集客支援を行う。インバウンド向けのミニホテルや長期滞在型のコンドミニアムホテル、関東近郊のリゾート地で展開する一棟貸切タイプのラグジュアリーヴィラなど現在12施設の運営や集客に携わる。その他、集客にお困りの施設の宿泊コンサルタントや、神奈川県で第3種の旅行業登録、中小機構のアドバイザー、各種講演や大学の講師なども務める。大阪出身、横浜市在住。