TIFS会員インタビューVol.13 世界の中での日本人旅行者の立ち位置とは-G2トラベル・ジャパン 六反隆徳 氏
TIFS会員の取組をご紹介するシリーズ第13弾はG2トラベル・ジャパンの六反隆徳さんの取組をご紹介します。
六反隆徳氏(以下敬称略) 鹿児島県出身です。大学を卒業した後、1年間米国のニュージャージー州に語学留学し、帰国後の1989年にガリバーズ・トラベル・エージェンシーに入社しました。ガリバーズ・トラベル・エージェンシーには、23年ほど務めましたが、その間にパリやロンドン、日本と各地で仕事をし、その内容も営業、手配、見積もり、来訪する日本人旅行者のケアやコーディネーションなど多岐にわたるものでした。
2012年にG2トラベルのロンドンに入社し、翌2013年には帰国し、G2トラベル・ジャパンに加わりました。前任者の後を継いで、現在は社長を務めています。G2トラベル・ジャパンは2012年に設立されたツアーオペレーターで、ヨーロッパ、中近東、北米、オセアニアを中心にグループツアーの手配を行っています。G2グループ全体では1000名を超える規模で、拠点は全世界に24箇所あります。
六反 やっとコロナ禍によるダメージは抜け出したものの、ロシアのウクライナ侵攻の影響は大きいと言わざるを得ません。基本的には現地事情の変化について、ありのままを旅行会社の皆様にはお伝えしており、当社としてお引き受けできるデスティネーションもメリハリをつけています。例えば、ヨーロッパで言えば日本人のスタッフが常駐しており、有事が発生しても対応がきちんとできる国を最優先しています。
ボリューム的には、ヨーロッパのシェアが多く、中近東はイスラエルの問題もあり現在はかなり少なくなっています。英語圏で言うと、北米はアメリカ、オセアニアはオーストラリアとニュージーランドが主力で、グループ本数でいうとオセアニアが多いものの、貨幣価値からみて北米のほうが料金は圧倒的に高くなっています。
また、グループサイズはコロナ前に比べると小さくなっています。一昨年から徐々に需要が回復し始めた頃、まずは元々プレエコやビジネスを利用していた方々が動き始めました。理由としては世界的なインフレ、円安、ロシア、ウクライナ紛争、現地でのオーバーツーリズム対策で訪問客の制限、好調なインバウンドに座席が多く回されていることなどがあげられます。
旅行会社のブランドや商品特性にもよりますが、グループサイズは底を打った感じもあります。また、成田や羽田よりも名古屋など地方空港の方が座席が出るケースも多々あります。
六反 2022年に10年に一度ドイツで開催されるオーバーアマガウ「キリスト受難劇」があり、アメリカやヨーロッパのキリスト教信者の方々がヨーロッパ内を周遊するという、大規模な移動がありました。2023年は日本と同じようにコロナ禍中に国を閉ざしていた台湾、そして韓国の方々が国境が開いた瞬間にたくさん旅行していました。一方、日本はコロナ禍中にGOTOトラベルなどで国内の魅力を再発見した人が多く、海外より国内に目が向いた面もありますね。
G2グループとしては、中国を除いた国々はかなり順調です。とはいえ、日本に関しては今までの貯金で食べていけている面もあります。現地においても日本人旅行客の評判は良いので、コロナ禍後の動き始めは遅くとも、ある程度は待っていてくれて、未だに優先してくれる傾向は残っています。