DMO、二重価格どう考える?観光庁観光地域振興部長に聞く地域観光の課題とこれから【対談】

  • 2024年8月22日

篠原 今まで観光とは無縁であった地域が、改めて地域資源を見つめ直し、受け入れ体制の整備をしていこうという動きが増加しており、観光資源課が実施する注目の事業として「地域観光新発見事業」があるが、1次2次合わせ719件が採択された。

長﨑 同事業は、地域の観光資源を活用した地方誘客に資する観光コンテンツについて、マーケティングデータを生かし、磨き上げながら適切な誘客に繋がる販路開拓及び情報発信の一貫した支援を実施するもの。特徴は、インバウンドに限らず国内観光客の誘客に資するコンテンツ造成も行える点にある。

 同事業については全国から多くの申請をいただいたが、我々としても同事業を契機に地域において観光的価値を高め、稼げる観光を目指していただきたいと思っている。

篠原 同事業などを通し観光立国へ向けて大きく動き出しているが、裏側には課題も山積している。今後が長﨑部長の腕の見せ所となるが、全国の観光に関わる皆さんに改めてメッセージをお願いしたい。

長﨑 コロナもほぼ収束を迎え、観光庁の取り組みも新たなステージに改めて入ってきた。訪日者数及び消費額も極めて順調な今が、観光資源の磨き上げ、高付加価値化、それに対する正当な価格設定という好循環を全国に作り出す絶好のタイミング。

 観光庁としても、地域から上がってきた申請をチェックさせていただくことも重要だが、日本全国の我々の組織をフル稼働しながら、より深く地域に入り込んでいくつもりだ。現在、地域においてはライドシェアの活用による二次交通問題の解消に向けた動きが見られるが、それに対する新たな課題などについて運輸局が直接行脚しながら地域の声を吸い上げている。こういった機会も活かしながら観光庁としての取り組みや課題設定の部分を理解していただくようなこともやっていきたい。

 今後は具体的な成果を積み上げていく段階に来ている。関係者の方々がこれまで築き上げてきた努力を花を開いて成果を出す。そこを自分の中では注力して邁進していきたい。