今年の人手不足関連倒産件数 既に過去最多更新、賃上げ巡り資金繰り悪化と人材流出のジレンマ

  • 2024年8月8日

 7月の「人手不足」を一因とする全国企業倒産件数(負債1千万円以上)が32件だったことが東京商工リサーチ(TSR)の調査でわかった。これにより、1~7月の「人手不足」を一因とする倒産は177件で、13年の調査開始以降、年間最多を記録した23年(158件)の数字に7カ月で達した。

TSR資料より

 倒産要因別では、求人難(71件)が最多。以降は人件費高騰(60件)、従業員退職(46件)と続いており、人件費高騰及び従業員退職を要因とする倒産数は既に年間最多を更新している。

 続いて産業別では、サービス業他(53件)が最多で前年同期比112.0%増を記録。以降は建設業(52件)、運輸業(37件)と続いた。また、資本金別では、1千万円未満が112件で全体の6割超を占めた。

 TSRでは、業績改善を見られない中での賃上げは資金繰りの悪化を招く恐れがある一方、賃上げの流れに乗れない企業は従業員の採用が難しく、人材の流出も避けられないとのことから、しばらく「人手不足」関連倒産は増勢が続く可能性が高いと見ている。