ブランドUSAがセールスミッション実施「日本市場では本土以外の回復急務」、旅行会社利用増のトレンド変化も
米国の公式観光促進組織「ブランドUSA」は今月、日本で現地観光局ら32団体を含めたセールスミッションを開催した。例年では東京のみの開催だが日米観光交流年となる今年は大阪でも実施され、セミナーや商談会に多くの旅行会社らが参加した。
米国では27年までに訪問者数9000万人、消費額2790億ドルとの目標を置いているが、セールスミッションに合わせ来日した米国商務省旅行観光担当副次官補アレックス・ラズリー氏によると、少なくとも訪問者数については26年に目標に達するとの見通しだ。
ただ、そのためには「日本市場の回復が必須」と述べたラズリー氏。19年日本から米国への訪問者数は約370万人だったのに対し、今年1~5月は約70万人。まだまだ回復には至っていないものの、入国システムの改善などを通して「パンデミック前の数字に早く戻れるようにしたい」と意欲を示した。
その一手となるのが米国国土安全保障省 税関・国境取締局(CBP)が定める「グローバルエントリープログラム」。面接などの事前審査を完了した旅行者は以後5年間、顔認証のみで入国が可能となるもので、現在世界20カ国1400万人が審査を完了しており、日本では2100人が登録されている。
日米観光交流年の取り組みの一環として、本年末までに日本人を対象とした同プログラムの正式導入が決定しており、通常は空港で面接が実施されるが、今回のセールスミッション期間中には特別に同会場での面接が開催された。
コロナ後のトレンド変化
旅行会社の利用が増加?
ブランドUSAグローバル・トレード・ディベロップメント・ディレクター(アジア太平洋地区)のスージー・シェパード氏によると、日本からの渡航者の目的地別では、コロナ前はハワイ42%、米国本土39%だったが、昨年はハワイ36%、本土55%との結果になっており、今後は「ハワイやグアムなど、本土以外の回復が重要」となる。
また、グローバルでのトレンドの変化としては、「ブッキングウィンドウの短期化」「旅行会社の利用増」「価値ある体験ニーズの向上」「インフルエンサーの影響力増加」などの傾向が見られているという。
旅行会社の利用が増えた理由については、返金や有事の際の問い合わせ対応など「安全性に対する見直しがあったのでは」(シェパード氏)と述べており、加えて旅行に関する相談のニーズが高まっているようだ。
ブランドUSAによる今年の販促活動では、旅行会社やメディアなどとのタイアップ企画を実施。一例として旅行会社では、昨年の旅行商品販促プランコンテスト「ゴールド・ラッシュ:ブランドUSAマーケティング・チャレンジ」でグランプリに輝いたベルトラによる日米姉妹都市を軸とした販促を。
MLBの日本への放映権を持つ「J SPORTS」とは、「ボールパークへ行こう」と題したプログラムを作成し、日本人プレーヤーが所属するチームのホーム球場のオススメスポットや周辺の観光地などを紹介。それに併せ、MLBと国際パートナーシップ契約を結んでいるJTBによるMLB関連の旅行商品のプロモーションも実施している。
また、ブランドUSAは7月15日付で新CEOにフレッド・ディクソン氏が就任することを既に発表しており、今後ブランディング、クリエイティブに関しても刷新していく予定だという。