独立系ホテルアライアンスGHA 加盟ホテルが日本での開業明言、ロイヤリティプログラムの今後の展開は?
パン パシフィックやマイナー・ホテルズ
日本での開業進める
昨今は、外資系ホテルの日本での開業が相次いでいるが、ハートリー氏はこの傾向は今後数年は続くと予想しており、日本を「莫大な需要を生み出せる市場」と評価している。実際に昨年から現在に掛けて「BELLUSTAR TOKYO」「HOTEL GROOVE SHINJUKU」の国内2ホテルでは、過去12ヶ月間で会員による利用は合計50,983泊を記録しトップパフォーマーとなっている。
運営を担うパン パシフィックホテルズグループCEOのチェ・ペン・サム氏も、円安・低金利を理由に日本市場を魅力的な投資先と話しており、今後の展開については、大阪・京都・北海道など東京以外の地域での開業に意欲を示した。
さらに、日本未進出のタイ拠点マイナー・ホテルズCEOのディリップ・ラジャカリエ氏も、今後3~4年間に日本で20軒の開業を明言。既に進出に向けた動きを始めているという。同ホテルについては、今年1月に「3年以内に200軒の新規開業」との計画を打ち出しており、日本以外でも積極的な展開を進めている。
なかでも、注目の一つに挙げたのがインド市場。人口規模も当然ながら、「ここ数年で整備されたインフラが観光にも貢献しており観光客の誘致に繋がっている」(ラジャカリエ氏)と話しており、今後5年間で50軒ものホテルをオープンする予定だ。
ロイヤリティプログラムは
グローバルブランドとの競争必須
ハートリー氏は「アライアンスという観点では、ホスピタリティ業界で同様の取り組みがないため競合相手はいない」と主張したものの、「ロイヤリティプログラムというサービス視点では、マリオットボンヴォイやヒルトン・オナーズなどと競合している」と話しており、今後各プログラム間での競争激化が予想される。
そんな中で、同氏が差別化の一点目に挙げたのが「ディスカバリー・ドル(D$)の明確さ」。D$は、GHAディスカバリーの独自通貨ではあるものの1D$が1米ドルに相当しており、ポイント制と違い必要数が明確でわかりやすい。
また、ハートリー氏によると会員の年間ホテル滞在日数は平均27日。今後はD$を日常使いできるよう取り組みを進める方針で、例として宿泊時以外のホテルでの体験プログラムの提供や会員向けのイベントやアクティビティなどを挙げている。同時に、他社のロイヤリティプログラムとのステータスマッチも検討しており、新規顧客獲得を図りたい考えだ。
二点目は「ブランドの多様性」。ハートリー氏は大手ブランドがより多くのホテルを提供しているものの、GHAはそれぞれが独立したホテルブランドであることから、異なったユニークなローカルブランドから選択できることが魅力とした。マイナー・ホテルズのラジャカリエ氏も、加盟ホテルは「互いに補完し合う関係」と話しており、ゲストのあらゆるニーズに対応することができる。
また、ブランドの多様性は、ゲストのみならず加盟ホテルにとっても魅力となっており、ドイツやスイスにラグジュアリーホテルを構えるケンピンスキー・ホテルズCOOアマンダ・エルダー氏は、GHA加盟により同社だけではリーチしづらい顧客層にもアプローチができることから、「(会員間での協力が)絶対不可欠」と強調。同社は、売上の約3割をGHA会員から獲得しているという。
一方で、ハートリー氏は「大手ホテルが(ブランドの)多様化を図ろうとしているため、市場は非常に競争が激化している」との見解も示しており、GHAにとっても今後更なる加盟ホテルの拡充が図れるかがカギとなりそうだ。