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TIFS会員インタビューVol.11 専門性の追求、RPAを使った業務効率化 - ターキッシュエア&トラベル ジェム・チャカローズ 氏

  • 2024年6月12日
  • 出典:一般社団法人新観光創造連合会(TIFS)
-その後、また旅行手配の仕事に戻られたのですね?

チャカローズ 前述のターキッシュ エアラインズの支社長の退任と同時に自分も独立し、トルコ専門のツアーオペレーターCB CRESCENDOを2004に設立。しかし、正直なところ仕事はどんどん難しくなってきていると感じていました。来日した頃の時代はまだ未知の印象も強かったトルコの生の情報をお伝えすることに価値を感じてもらえていましたが、インターネット上の情報もどんどん豊富になり、トルコ旅行を手がける競合も増えていましたから。B2Bには難しさを感じ、B2Cで直接旅行を販売しようと決断したのは2014年。ここでターキッシュエア&トラベルを設立しました。大手に比べたら宣伝広報予算でもブランド力でも競争できないので、とりあえずウェブサイトを作って販売を始めました。

 ウェブサイトを作ったのも、ネット上での販売をするのも、B2Cの商売をやるのも初めてでしたし、さらに自分自身はオペレーターの経験はあっても、いわゆる旅行会社で勤めたこともない、という中でのスタートでした。当初はエイビーロードやトラベルコなどのポータルサイトに頼りながら販売をしていましたが、半年後には積極的にGoogleやYahooに広告を出し始めて直接集客をできるようになりました。

-創業時は苦戦されたとのことですが、現在はどのような経営方針でしょうか。

チャカローズ ポータルサイトでの販売は、安い順に掲載され、どうしても価格競争に陥るので、その点に課題を感じていました。また、てるみくらぶが倒産して、「小さな旅行会社は潰れるリスクがある」というイメージが浸透してしまい、だからこそ、価格競争ではなく、「しっかりした良い旅行を売る」というコンセプトが固まりました。弊社が取り扱うトルコ旅行は、ハワイなどとは違いリピートするような旅先ではありません。その為、お客様の今回のトルコ旅行が『一生に一度』となる可能性も大いにあります。その大切な旅を失敗で終わらせないために、逆に想像以上の満足を感じて頂く必要があると実感しました。

 かつてランドオペレーター時代には40名くらいのグループも取り扱っていましたが、今では最大でも19名での催行です。ホテルも5つ星、バスでの移動時間も長いツアーになりますので、隣席が空いた状態で寛げるように、質の高いサービスを提供しています。

 また、最初の接点はオンラインですが、その後O2O(オンライン・トゥー・オフライン)に切り替え、オンラインだけでは支払いが完結しないようにしています。電話、メール、SNS、ときにはご来店などのコミュニケーションを取り、様々な質問にお答えし、完全に納得してもらってから申し込んでもらうようにしています。時間にも予算にも余裕のある中高年層が主なターゲットですが、親子や三世代での参加も増えてきています。2019年には年間3300人送客していましたが、今年も順調に推移しています。9割はパッケージ、1割はオーダーメイドで1回で100万円越えの旅行を楽しまれる方もいます。

-運営に際して特に注力しているのはどの点ですか?

チャカローズ 宣伝広報活動です。知名度が高くないことから信頼性の担保と日々戦っています。Pマークを取得したり、市場アンケートでイメージ調査を実施し、No.1の称号を得たり、お客様に安心してご利用いただけるよう工夫をしています。年間で宣伝広報予算には1億円ほど投下しています。オウンドメディア「ターキッシュ・カルチャー・クラブ」もオープンをしました。

 また、業務効率化にも熱心に取り組んでいます。例えば、以前はウェブに乗せる料金表をアップデートするために、人力で頻繁にGDSでの料金チェックをしなければいけませんでした。かなり時間も手間もかかりましたので、RPAでGDSを動かして自動的に料金変動をチェックできるようにしています。次はAIツールを駆使し、お客様対応の効率向上やマーケティング施策などに活用していきたいと考えています。