事業譲渡から1年、M&Aの意図とギャランツアー、Rikishaなど各事業の今後の展望は?ーTSD代表 深田健史氏
深田 基本的に当社は、お客様の手配の業務生産性を上げることで対価をいただくビジネスモデルですが、実際のところ旅行会社において手配が占める割合はそこまで大きくありません。そういった意味では、現在は手配以外の部分で効率化が図れないかを重視しています。
具体的には、業務渡航では出張者自身によるセルフブッキングの推進。理想は企業と接点のある旅行会社がセルフブックかオフライン、最適な方法を提案できることですが、単独では実現が難しいため、そこを当社が支援を行う「OEM」のような展開を考えています。
一方、レジャー向けでは当社が現在関わりを持てているのは手配部分のみのため、企画造成の段階から伴走することで効率化できる仕組みを検討しており、将来的には、旅行会社向けに宿泊や移動以外にも、アクティビティや現地情報などを提供することで企画段階から寄与できるのではと考えています。
また、多額のお金が動くこの業界においては、資金繰りの問題は無視できません。そのため決済サービスと組み合わせ、資金繰りの課題解消に繋がるサービスを展開していく予定です。
深田 海外航空券に関しては、別れていてもお客様にメリットもないため「ギャランツアー」へ1本化する予定で、既に取引先への案内を開始しています。
一方、ホテルについては「アップルワールド」と「リキシャ」で立ち位置が異なっていて、リキシャが主に価格面を強みとすれば、アップルワールドは在庫数やサポートの手厚さを強みとしていて、要望によって使い分けができる状況のため現時点での統合考えておりません。
深田 当社内の効率化を考慮すれば将来的には検討の余地はあるものの、現時点では様子を見ている状況です。お客様ありきのサービスですので、そこに混乱が生じては意味がありません。
森本 リキシャについては、コロナ前に取り扱っていたランド手配サービスの復活やホテル以外の商材の販売を行う予定で、直近では空港~ホテル間の送迎手配を開始しました。
また、将来的にはリキシャサイト上で航空券の販売も行いたいものの、システムがかなり複雑になりますので実装にはかなりの時間を擁します。
深田 コロナ前から既に傾向はあったものの、コロナ経て航空会社からのインセンティブは減少し収益モデルは大きく変化しました。その中で、個札発券に関しては自動発券の仕組みがある程度確立できており、個札発券業務の8割ほどは自動化できている状況です。現在は、付随するVOID処理などの自動化に着手しており、ここの自動化の実現も近いです。
また、中期的には、次は団体見積もりの自動化を検討しています。理想は航空会社が持つ団体のシステムとAPI連携することですが、連携不可の場合は当社のプラットフォーム上で見積もり申請やネームインが出来れば面白いのではないかと考えています。
深田 先ずは、既に展開している仕入れの際のBNPLを実現する「後払いサービス」をもう少し浸透させていきたいところです。業界ではまだまだクーポンなどの支払い手段が根強いですが、当社のウェブ手配サイトと融合して、一つの決済オプションとして提供することで拡大を図る予定です。
包括加盟店サービスについては、旅行業以外の業態へも展開できないか検討しており、ここは多くの事業、顧客を抱えるじげんグループのリソースを活用することで実現可能性は高いと感じております。
BPOに関しては、当社グループとしても初めて着手する領域だったため、まずは体制構築を進めているところです。
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