観光業を担う上で「何を大切にするか?」自身の役割を振り返る-KYOTOyui 近藤芳彦氏
株式会社KYOTOyuiの近藤芳彦です。コラム開始からアッという間に丸2年が経ちました。前回に引き続き、今回も観光業に対する私なりの想いについて書かせて頂きます。
3月中旬頃に、ある外資系ホテルのオーナーさんと約1週間ご一緒させて頂きましたが、「観光業にとって、とても大切で当たり前のことをやるべきだなぁ~!」とつくづく感じました。
今回の目的はホテルで使用される商品探しです。例えば、スタッフさんが着る生地からこだわったユニフォームや、アクセサリー、そして日本での多店舗展開をされる中で必要になるオリジナル商品の制作拠点に至るまで、沢山の場所をご案内いたしました。
そんな中で先ず学ばしていただいた事は「何を大切にするか?」です。当たり前の事なのですが、なかなか出来ていない事だと思います。ホテル業としてやるべき事、また地球環境に対しての配慮、お客様に喜んでいただける事など徹底されている事に素晴らしく感じました。
そしてホテルを建てられる随分前の話ですが、「何故京都にホテルを建てたいと思われるのですか?」と聞いたところ、かえってきた言葉が「日本の文化の中心は京都だと思う、その地域に根付いた地元の方と一緒に成長させていただけるホテルを創りたい」といわれ、鳥肌が立ったことを忘れもしません。正しくその言葉の通り地元に根付いた産業、人に対して温かく受け入れようとされている姿勢を感じながらご一緒しておりました。
次の学びとして私が感じた事は、何度もお伝えしている通り、観光業とは「光を観る」と書きますが、先ずは自分が輝き光を与える人になる。という事も学びました。今までは「光を観る」場の提供を創ることが観光業の役割と思っていたのですが、自身が光を与えられる人となる観光業も必要だと強く感じました。
違うお話をさせて頂きますが、ビジネスパートナーさんからのご縁をいただき、ここ最近新潟県の糸魚川市に何度か訪ねております。そこでも「日本各地に素晴らしい財産があるなぁ~!」と感じました。
簡単に申し上げると、地域の当たり前が実は観光資源になる事に気付かれていない。という事です。皆さんも何処まで糸魚川市の事をご存じでしょうか?正直私は全く知りませんでした。そんな糸魚川市に訪ねた私は初日から虜になる程でした。
糸魚川市で観光になり得る財産は大きく3つありました。1つ目に「本ズワイガニ」です。行って初めて知ったのですが、蟹の漁獲量で一位は北海道、二位は鳥取県、三位は兵庫県、そして4位又は5位の位置に入るのが島根県や新潟県なのです。帰京後に色々な方に新潟県が蟹の産地だと知っているか?と聞くと私の周り(関西圏)では100%知りませんでした。
2つ目に「翡翠」です。糸魚川市は奴奈川姫の伝説がある街で、大国主命が奴奈川姫に求婚に来た!とされ、結婚後に生まれた子が、諏訪大社の祭神である南方刀美神(建御名方神)という伝説があり、その奴奈川姫は万葉集に残る翡翠の女神とも言われているようです。翡翠は「日本の国石」とされております。
最後に「真柏」です。これも私は全く無知でしたが、盆栽の王様とも言われ、大変美しく天皇家にも愛される盆栽だそうです。そんな真柏の有名な産地は糸魚川市で、これも知った時はインバウンド客の方に来ていただける最高の資源だと思いました。
以上二点のお話しをまとめさせて頂くと、ここ最近「光を観る」大切さに気付き、そして観光業を担っている私としての役割を改めて考えさせられる今日この頃です。コラムを読んで頂いている皆さんにとっての観光業とは何か?を改めて考える機会になれば幸いです。
株式会社KYOTOyui代表取締役。トラベル京都代表。京都観光サポーター。1972年3月生まれ、大阪トラベルジャーナル旅行専門学校卒業後、旅行会社に3年ほど勤めるが、結婚を機に退職し、その後は他業種に就いたものの2006年に旅行業を立上げ、2016年には法人の観光業を営んでいる。趣味は「旅×仕事」です。