DXから商品造成まで、システム会社が挑むこれからの地域の課題解決への取り組み-NECソリューションイノベータ 川村武人氏
川村 検討会では、DMOが地域の情報発信から予約、決済を伴う仕組みを構築することがKPIとなったわけですが、これまで代理店やOTAをうまく活用しようという認識だったものが、直接、地域側でも販売できるようになるべきという方針ととらえています。
当社としても、日本観光振興協会と協力して地域の観光DX促進、地域商品の流通拡大を目的とした「マルチチャンネル販売プラットフォーム」を作っていて、全国の観光情報を発信している「JAPAN47GO」とも連携して、同サイトに観光情報を見に来た方がそのまま予約に進めるような導線も設置する予定です。
川村 観光業は最終的には人と人。我々としてやっていることは、観光客を迎える当日以外の部分をシステムで解決するということですが、他にもDX、観光地経営、商品造成、集客などをテーマに地域単位でセミナーを行っていて、人の教育にも力を入れています。我々自身観光業のプロではないので、主に他の地域の成功事例やデータなどを基にお話ししています。
あとは、これからは色んな産業での体験が地域産業になり得ると考えていて、例えば水産業では採れたてのウニを食べられるような体験は富裕層などにも受けるでしょうし、これまで観光に全く関係がなかった方たちを巻き込んで観光人材を増やしていく取り組みも進めています。
川村 意識改革の部分でしょうか。ITベースの考えで観光業に従事されている方とお話しすると、どうしてもギャップを感じます。我々がやろうとしていることは、デジタルで人と人をゼロにすることではなくて、3割でも4割でもデジタルで効率化しようということ。だからこそ我々としても地域に寄り添う意識で取り組んでいます。
これまでのIT業界はシステムを作るまでがゴール。一方、観光事業者はそこからがスタート。我々としては初期費用などを極力安く提供し、儲かった時にいただくカスタマーサクセス型にこだわっていて、あくまでもシステムを導入してからが勝負となります。
川村 生成AI、ICT、DXなどデジタルに全く恐れる必要はない。うまく活用して今後の難局を乗り越えながら、地域の自然、文化を価値に変えて一緒に地域活性化を実現していきたい。
日本の地域は多くのポテンシャルを秘めています。また、欧米のプラットフォームビジネスを真似するだけではなく、日本には日本のやり方があると思います。まずは自分たちの思い入れのある商品に対して、コツコツと1人でもいいのでファンを作って徹底的にサービスを提供する。そうすれば自ずと魅力は広がっていくものと信じています。