DXから商品造成まで、システム会社が挑むこれからの地域の課題解決への取り組み-NECソリューションイノベータ 川村武人氏
観光庁などが中心となって地方誘客が推進されるなかで、「DX」は切っても切り離せないテーマ。昨年9月から今年3月にかけて行われた「観光DX推進のあり方に関する検討会」では、すべての登録DMOに対し地域全体を包括する情報発信・予約・決済機能をシームレスに提供するサイト設置を2027年までに行うようKPIを定めるなど、対応は急務だ。そんな地方のDX化推進に寄与するのがNECソリューションイノベータで、システムの提供から商品造成のサポートも実施する。これまでのIT業界と違い「システムを作るまでがゴールではない」と話す同社イノベーション推進本部の川村武人氏に、システム会社として観光関連事業を立ち上げた経緯や事例などについてお話しを伺った。
川村武人氏(以下敬称略) NECソリューションイノベータには新卒で入社しました。長らくシステムエンジニアとして顧客の基幹システムなどをオーダーメイドで開発するシステムインテグレーション(SI)サービスを担当してきましたが、アジアを中心に諸外国の方がより安価に早く開発できるようになり、10年ほど前にSI型での人月ビジネスだけでは限界を感じるともに、会社のなかでも新しいビジネスモデルを作らないと、という強い危機感がありました。
そのような状況下で、現在も私自身所属するイノベーション推進本部の立ち上げに参画し新規事業を模索するなかで、学生時代のバックパッカーの経験から、当時NECグループとしては事業ドメインではなかった「観光」に挑戦しようと思い立ちました。そこから業界関係者へヒアリングを進めるなかで、訪日旅行者のガイドに同行させていただく機会があり、通常では気付き得ない地域の魅力を創出するガイドの素晴らしさに触れるとともに、業界のデジタル化の遅れを目の当たりにし、2015年にガイド情報や、スケジュール、案件管理などを支援する「ツアーガイドマッチング支援」の開発に至りました。
その後は、2017年に観光庁と共同で「通訳案内士登録情報検索サービス」の開発リリース。この2つのシステムは手配、管理側の業務効率化を実現するものでしたが、販売側の課題解決に資するのが2020年にリリースした「NECガイド予約支援サービス」になります。
川村 先程も申しあげた通り長らく手配、管理側の課題解決のためのシステム開発を行ってきましたが、そのなかで旅行会社やガイド組織から販売側の課題解消の要望をいただき実現したもので、それまでツアーやアクティビティの販売はOTAや代理店を通すのが主流だった訳ですが、どうしても手数料が高く利益が残りにくい。「NEC ガイド予約支援サービス」は、アクティビティ事業者や旅行会社が直接商品を掲載して、情報発信から予約決済までを完了させる直販支援ツールとなります。