大手5社による談合疑い、JATA及び各社へ調査指示-髙橋長官会見
観光庁の髙橋長官は11月15日に会見を開いた。同日に報道された青森市での入札案件における大手旅行会社5社による談合が行われた疑いに関しては、日本旅行業協会(JATA)及び各社へ急ぎ事実関係の確認を行っているとしたうえで、仮に報道が事実とすれば「極めて遺憾」と述べた。観光庁としては事実関係を踏まえ厳正に対処する方針。
観光庁からは今年5月にも、近畿日本ツーリストと日本旅行による不正事案を巡ってJATAへの総点検を指示していたが、名鉄観光サービス等その後も相次ぐ業界内での不正発覚を背景に現在でも報告には至っていないという。
訪日客数、コロナ禍以降初めて19年同月超える
10月の訪日外国人数は251万6500人(対19年同月比100.8%)を記録し、コロナ以降単月で初めて19年同月を超えた。韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、ドイツ、イタリア、スペインの14市場で10月として過去最高を記録したほか、カナダ、メキシコ、ドイツでは単月過去最高を更新。2023年冬ダイヤ時点の運航便数もコロナ禍前の約8割まで回復しており、今後も東アジアを中心に増便・復便が予想される。
月 | 訪日外国人数 | 出国日本人数 | ||||
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2019年 | 2023年 | 対19年 | 2019年 | 2023年 | 対19年 | |
1月 | 2,689,339 | 1,497,472 | 55.7% | 1,452,157 | 443,105 | 30.5% |
2月 | 2,604,322 | 1,475,455 | 56.7% | 1,534,792 | 537,705 | 35.0% |
3月 | 2,760,136 | 1,817,616 | 65.9% | 1,929,915 | 694,292 | 36.0% |
4月 | 2,926,685 | 1,949,236 | 66.6% | 1,666,546 | 560,183 | 33.6% |
5月 | 2,773,091 | 1,899,176 | 68.5% | 1,437,929 | 675,603 | 47.0% |
6月 | 2,880,041 | 2,073,441 | 72.0% | 1,520,993 | 703,259 | 46.2% |
7月 | 2,991,189 | 2,320,694 | 77.6% | 1,659,166 | 891,614 | 53.7% |
8月 | 2,520,134 | 2,156,900 | 85.6% | 2,109,568 | 1,201,247 | 56.9% |
9月 | 2,272,883 | 2,184,300 | 96.1% | 1,751,477 | 1,004,730 | 57.4% |
10月 | 2,496,568 | 2,516,500 | 100.8% | 1,663,474 | 937,700 | 56.4% |
訪日外国人数の今後の見通しについて髙橋長官は、為替や国際情勢等の影響を大きく受けることから明言を避けたものの、「(訪日観光客は)地方部へはまだ広がっていない」と引き続き「地方誘客」へ取り組む姿勢は変わらない。先週10日に閣議決定された令和5年度の補正予算案でも「地方誘客促進によるインバウンド拡大」に約184億円を計上している。
7~9月期の日本人国内旅行消費額速報
19年水準迫る
会見同日、観光庁は2023年7~9月期の日本人国内旅行消費額(速報)を発表した。それによると該当期間の日本人国内延べ旅行者数は1億4179万人(19年同期比83.7%)で、その内宿泊旅行が8031万人(同84.5%)、日帰り旅行が6148万人(同82.7%)となった。
人数ベースでは19年水準に届かないものの、1人1回あたりの旅行支出(旅行単価)が44,361円(19年同期比112.2%)と19年同期を超えたことから、7~9月期の日本人国内旅行消費額は6兆2899億円(19年同期比94%)を記録した。なお、旅行支出(旅行単価)には、参加費、交通費、宿泊費、飲食費、買物代、娯楽等サービス費等が含まれる。