若者を中⼼にオープンイノベーション起こす、7月立ち上げの観光クロスオーバー協会「観光を総合産業に」
「若者を中⼼に観光産業にオープンイノベーションを起こす」との⽬標を掲げ今年7⽉に「観光クロスオーバー協会」が⽴ち上げられた。協会の代表を務めるのは弱冠24歳で、たびふぁん代表の⻄岡貴史⽒。「業界内に若者が少ない」と語る⻄岡⽒に、⽴ち上げに⾄った経緯やその思いについてお話しを伺った。
西岡貴史氏(以下敬称略) 元々旅⾏が好きということもあり、⼤学在学中に旅⾏系のスタートアップに参画し、21年2⽉に現在代表を務めるたびふぁんを学⽣起業で⽴ち上げました。在学中のビジネスコンテストで、宿泊施設とインフルエンサーをマッチングする事業で賞⾦を獲得したこともあり⽴ち上げに⾄ったのですが、最初はどこか旅⾏会社でやろうと、実際に⼤⼿旅⾏会社グループの内定までいただきました。ただ、やはり新卒でいきなり新規事業をやらせてもらうことは難しいですし、内定は辞退し会社を起業しました。
たびふぁんでは「旅のロングテールモデルをつくる」ということをコンセプトにしていて、ゴールデンルートなどのボリュームゾーンだけではなく、ニッチな領域にファンを作るために様々な事業を行っています。
西岡 ⾃社の事業を進めていくなかで感じたのが、業界内に「若者」が少ないということ。ここで⾔う「若者」は年齢的なこともそうですが、新規事業や起業など新しいことに挑戦する⽅という意味も含みます。
現在の観光産業は、波及効果として約48兆円の⽣産⾼と約410万⼈の雇⽤を創出する基幹産業です。ですが、DX化の遅れによる⽣産性の課題や、⾼年齢による若者従事者の減少によって、ビジネスモデルが硬直化していてオープンイノベーションが起きづらい業界と感じています。
そんな観光産業に対して、若者を中心とした他産業からのアイデアとこれまで業界として築いてきた産業基盤をクロスオーバーさせるような仕掛けを行おうと考えました。
協会の構想は今年の1⽉から始まり7⽉に⽴ち上がりました。活動としては⾃治体や団体と連携し新たなアイデアを試せるような観光に特化した実証実験の場の創出と、勉強会やワークショップの開催、会員内でのコミュニティ形成、交流によって⽣み出されたビジネスを実現するためのJV化推進などを⾏います。
西岡 観光は、わが国のGDPの4.8%にも相当する約20兆円もある総合産業です。裾野が広い観光産業だからこそ様々なシナジーを⽣めますし、実際に会員には積⽔ハウスや住友商事など様々な企業が加盟しています。
7月に協会設立のキックオフとして行った「観光クロスオーバーMEET UP」では、観光をテーマに新たなアイデアやプランを募集するビジネスコンテストを実施しましたが、あえて旅行や宿泊分野などと絞り込まないことで色々なアイデアが出てくるのではと考えました。
協会の定款も観光産業に資するアイデアや取り組みであれば何をしてもOKということにしていて、あくまでも協会としては⼟台を⽤意して、会員となる個⼈や企業、地域同⼠が⾃然発⽣的に起きる環境づくりを⽬指しています。