「徳島と共に歩む会社」を新たな社是に据え、人流の創造に取り組む―エアトラベル徳島 代表取締役社長 藤田純氏

  • 2023年10月24日

 地元新聞社を親会社に持つエアトラベル徳島。地域に根差した旅行会社として創業50周年を迎える同社だが、ここ数年で起きたインバウンドの急増やコロナ禍といった市場環境の激変を受けて、より地域に密着し地域と共にある旅行会社を目指し変貌を遂げつつある。そのかじ取り役を担う藤田純代表取締役社長が22年度に掲げた新たな社是は「徳島と共に歩む会社」だ。

エアトラベル徳島 藤田純代表取締役社長
-エアトラベル徳島の概要と、藤田社長の自己紹介をお願いいたします。

藤田純氏(以下敬称略) エアトラベル徳島は地元の新聞社、徳島新聞社の100%子会社で、1974年に創業しました。事業内容は旅行事業の他に、航空会社の委託を受けて徳島阿波おどり空港における地上ハンドリング等を行う空港部門と、保険事業部門があります。空港部門ではJALの地上ハンドリングを行うほか、同じ徳島新聞グループの子会社から再委託を受けたANAの屋外での地上業務、たとえば機材のプッシュバックやマーシャルなどの業務を引き受けています。従業員数は多少変動しますが100人前後で、うち旅行部門が4割、空港部門が6割の比率です。

-来年は創業50周年ですね。

藤田 来年の3月に50周年を迎えますから徳島ではかなり知名度が高いと思います。地元では長年にわたってテレビのスポットCMを流してきました。「旅行のことならエアトラベル徳島」というキャッチフレーズは多くの県民が「ああ、あのCMね」というくらい耳に残っていると思います。

 私自身はこの会社に来るまで旅行業は未経験でした。もともと徳島新聞社の出身で、1999年に入社して以来、16年間は編集局で記者として働きました。その後5年間、経営企画室でグループ会社の設立や、新印刷センターの建設などを担当しました。

 その後、20年4月にエアトラベル徳島に専務として着任したのですが、直後にコロナ禍に見舞われ、旅行需要が消失する中での雇用維持という難題に直面しました。

-コロナ禍からの回復状況はいかがですか。

藤田 23年度第一四半期の旅行部門の状況は、コロナ禍前の19年度同期と比較して5割までの戻りです。海外旅行の回復がまだまだで受注できていないのが影響しています。海外の募集型企画旅行は何本か造成していますが、まだ催行には至っていません。またコロナ禍前の海外旅行のメインは県内企業の受注型企画旅行だったので、その需要が戻るか否かが今後に大きく影響します。それでも国内旅行は回復しており、旅行部門を支えています。

 インバウンド需要も現状ではそれほど獲得できていませんが、たとえば米国ケンタッキー州の大学生グループが授業の一環として取り組む「歩き遍路」のコーディネートの依頼を受けるなど、少しずつ動きが出ています。


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