「徳島と共に歩む会社」を新たな社是に据え、人流の創造に取り組む―エアトラベル徳島 代表取締役社長 藤田純氏
藤田 アイトリッパーは徳島県への誘客に特化した旅行予約サイトです。我々にとっては海外からの訪日客だけでなく、県外からいらっしゃる国内旅行需要も含め、すべて「インバウンド」と捉えています。その意味で国内外から徳島へのインバウンド客を対象にしているのがアイトリッパーです。日本語と英語の両方に対応しており、徳島県内の着地型旅行の手配を行っています。
サイト開設のきっかけは25年の大阪・関西万博への対応です。万博を千載一遇のチャンスと捉え、万博会場から徳島への新たな人の流れの創出を目指しています。
藤田 宿泊商品はもちろん取り扱っていますが、それだけでなく地域に根差した旅行会社ならではのディープで特色あるコンテンツを揃えています。たとえば藍の本場で挑戦する「藍染体験」、渦潮で知られる鳴門海峡での「カヤック体験」、四国徳島での「お遍路体験」といったアクティビティなどです。また、人口ひとり当たりのバー軒数が日本一の徳島で楽しむ「バー・ホッピング」など、飲食を組み合わせた着地型商品なども取り揃えています。
当社ならではを象徴する商品としては、阿波踊り関連の商品が挙げられます。旅行者にも阿波踊りを踊ってもらうために、独自の「アイトリッパー連」(※阿波踊りのグループを「連」と呼びます)を結成しました。徳島の有名な連のメンバーに浴衣や法被の着付け、踊りの指導をしてもらい、アイトリッパー連として阿波踊りに参加して楽しむ、いわば「踊らにゃ損々のプラン」です。
今後も旅行者が徳島への愛着を感じ、徳島の再訪につながるような商品やサービスをアイトリッパーを通じて提供していくつもりです。
藤田 これまでの当社の主力客層は比較的年齢層が上の方々でした。こうした顧客層を大切にしつつ、若年層も取り込んでいくことがこれからは必要になります。ところが若年層はOTAでの旅行が主流です。では旅行会社としてどう生き残っていくか。そう考えたとき、海外からの訪日インバウンドの拡大も見据え、徳島の旅行会社という顔だけでなく、徳島のランドオペレーターとして機能していくことが重要なのではないかと考えました。旅行事業の素人としてエアトラベル徳島に着任し、いきなりコロナ禍に見舞われましたが、不幸中の幸いを見出すならば、考える時間だけはたっぷりあったことです。
そうして考えた結果、アウトバウンド事業だけでなくインバウンド事業を強化する方針を立て、徳島県内のインフラツーリズムや鳴門の観光コンテンツ磨き上げといった国や県の事業にも関わり県内旅行商品の造成に取り組みました。その延長線上で経済産業省の事業再構築補助金を活用して徳島県への誘客に特化した予約サイトの構築にチャレンジすることになったわけです。
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