JTB 4年ぶりとなるサステナビリティイベント開催、同社がサステナビリティに取り組む理由とは?

  • 2023年9月3日

 JTBはこの8月~9月をサステナビリティ月間として、サステナビリティ経営に関しての理解促進と、体現を目指し各部署ごとに様々なイベントを実施している。今回開催されたファミリーデーもその一環だが、では何故同社はサステナビリティへの取り組みを行うのか。同社執行役員でサステナビリティ・DEIB推進担当の西松千鶴子氏に、その理由や同社の働き方の現状などについてお伺いした。

-JTBとして、サステナビリティとDEIBを推進される理由を教えてください。

西松千鶴子氏(以下敬称略) 当社の事業ドメインである「交流創造事業」は、人々の交流を創造し平和で心豊かな社会の暮らしに貢献するもので、交流が地域の魅力創出や、理解促進、心身の健康につながるものと捉えています。一方で、交流することは、移動時の二酸化炭素排出やオーバーツーリズムのような課題など、同時に環境に負荷を与えることにもつながるため、この負荷を削減することは当社の責務。交流創造事業を持続的なものにしていくために、あらゆる事業パートナーの方々と協力をしながらサステナビリティへ取り組まなければならないと考えています。

 DEIBは、当社でも長らく取り組んできたダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂性)推進に、エクイティ(公平性)、ビロンギング(帰属性)を加えたもの。女性活躍などの推進も当然ながら、社員一人一人の個性に焦点をあてて、それぞれに合ったものをさらに引き出していこうという考え方に進化させたものです。今後様々な環境変化が起こりうる中で、人が一番の財産と掲げる当社としては、DEIBの推進はプラスの交流を生むことに繋がると考えています。

-ウェブページでも現在の女性管理職比率及び、24年度の比率目標を掲げられていますね。

西松 はい、そのほかにも男女別の育児休業取得率、男女の賃金の差異を公表しています。現在は一般にダイバーシティ推進で言われるような目標としてこの3つをオープンにしていますが、今後他にも外部のステークホルダーの皆さんに公開していきたいと考えています。

-サステナビリティについては、2030年までに自社が排出するCO2排出量の実質0達成を目標とした「JTBカーボンニュートラル宣言」を昨年5月に発表されたかと思いますが、進捗はいかがでしょうか。

西松 達成に向けてやはり一番大きいものが電力。まずは社員一人一人の行動として、普段から省エネを意識することは既に取り組んでおり、大幅な削減施策としては、各営業拠点のエネルギーを再生可能エネルギーへと転換する計画を立てています。ただ、全体として賃貸物件が多いため、デベロッパーやオーナー側と協議の上進めていくことになります。どういった再生可能エネルギーに変えるかや、拠点により転換できない場合の次なる施策などは現在検討中です。

-DEIB推進の中で、新たなJTBワークスタイルの定着に向けて制度設計を進められていると拝見しました。現在の貴社のワークスタイルに関する制度についてお伺いさせてください。

西松 リモートワーク推進はコロナ禍と同時に進めてきましたが、こちらは今後も変わらずやっていく考えです。一番最近の大きな変化で言えば、これまで一部の箇所に限定されていたフレックス制を、昨年からより対象範囲を広げた上で各部署や個人で選択できるようにしました。そのほかにも、年間の勤務日数を短縮なしのほか、計5パターンから選択できる「勤務日数短縮制度」も20年10月から導入しております。

 ただ、どのような制度も使っていただかないと良し悪しも見えてきません。現在は制度の周知及び促進に力を入れている状況です。