相次ぐ外資系ホテル開業、米スタンダード・インターナショナルも日本市場参入へ
訪日需要の急回復に伴い相次ぐ外資系ホテルの新規開業。最近ではタイホテル大手のデュシット・インターナショナルが日本初上陸を果たしたが、そんな中、独自路線のブティックホテル運営を手掛ける、米スタンダード・インターナショナルが新たに日本市場への参入を検討している。同社は現在各地の主要都市に20のホテルを開業しており、今後5年間には「ザ・スタンダード」ブランドのホテルを、アジア、ヨーロッパ、ラテンアメリカに計14軒開業する予定だ。日本市場での開業時期は未定ではあるものの、今回本誌の取材に応じた同社傘下でアジアマーケットを率いるスタンダード・アジアのマネージング・ディレクター、ボリパット・ルイシャロン氏は「(日本での開業は)今後数年間で、早ければ早い方がいい」と答えた。
日本ではまだあまり馴染みがないブティックホテルについて、ルイシャロン氏は「一般的に言われている、小規模でユニークなホテルを指す「ブティックホテル」ではなく、より広義な「ライフスタイルホテル」の方が、日本を含む世界中のホスピタリティ業界で見られる需要の変化にマッチし、より適切に説明できる言葉ではないか」と指摘する。続けて日本市場での可能性については、「旅行者は「ハード」よりも、有意義な体験、つまり「ソフト」を切望しており、豊かな文化、芸術、ファッション、デザイン、卓越した料理などを有する日本はアジア地域の真の文化拠点であり、可能性は無限大」と語った。
日本で開業する場合のエリアについては「都市型」と「リゾート型」の両タイプを検討中で、タイでは既に首都バンコク、リゾート地ホアヒンでホテルを開業している。具体的なエリアについては、都市型としては「東京」「大阪」「京都」「福岡」、リゾート型としては「沖縄」のほか、スキーリゾートとして「ニセコ」「白馬」をそれぞれ候補に挙げた。
同社は現在3つのブランドを有しており、前述の「ザ・スタンダード」のほか、主に米国内にあり、その土地ならではの文化などを体感できる「バンクハウス」、シンプルなデザインながら、独自の個性や遊び心を提供する「ザ・ペリ・ホテル」を展開する。
日本への初参入を検討するザ・スタンダードについては「五感を刺激するユニークなデザイン、高級レストランからカジュアルなカフェ、バー、ナイトクラブ、ビアガーデンなどで提供するエキサイティングな料理、素晴らしい雰囲気と社交の場、ユニークなアート作品やファッションなどを提供する。また、ホテルでは、トークセッションやミュージックプログラム、アートエキシビションなど、常に何かが起きている」(ルイシャロン氏)。また、その他のブランドについても、「ザ・スタンダード参入後、あるいは同時に日本へ持ち込みたい」と語った。
既に海外のホテルで多くの日本人旅行者を迎えている同社は、日本市場でのターゲットについては国内外両方の旅行者が対象となるものの、“宿泊”においては「国内よりも少し外国人旅行者に頼ることになるだろう」との見立て。ただし、同社のビジネスにおいて大部分を占めるのが料飲施設。ルイシャロン氏は「料飲施設をホテルの宿泊ゲストへのサービスだとは決して考えていない」と話しており、「(料飲施設は)現地のローカルゲストにかなり依存することになるだろう」と答えている。
また、現在展開する海外のホテルではダイレクトブッキングが最も主要な販売チャネルとなるものの、「マーケットごとに予約行動タイプは異なるため、(OTAやホールセール、旅行代理店含め)すべてのチャネルに対応しなければならない」と述べた。
現在は外資系大手ホテルの開業が目立つ中、今後「ザ・スタンダード」のような独創的なコンセプトとサービス、デザインを追求した個性的なライフスタイルブティックホテルの参入にも期待したい。