現地レポート:ニューカレドニア初紹介、「天国にいちばん近い島」の現在は?
6月5日から9日まで、エアカラン(SB)の招待でニューカレドニアを視察する機会を得た。世界の観光産業ではコロナ禍で大きな打撃を受けたり人手不足が深刻化したりするなど様々な問題に直面しているが、「天国にいちばん近い島」の現状は果たして。筆者にとって初訪問、そしてトラベルビジョンとしても初の現地レポートのため、基本的な情報をしっかり押さえつつ視察内容を紹介したい。
「新しいカレドニア」って?
まずは基礎情報から。ニューカレドニアは南太平洋にあるフランスの海外領土で、豪州から東に1500km前後、ニュージーランドから北に2000kmほど。日本との時差は2時間。日本からはエアカラン(SB)の直行便で成田から首都ヌメアまで約8時間半(復路は約9時間)。現在は往路のSB801便、復路のSB800便ともに月、水、土の週3便の運航だ。(SBの最新インタビューはこちら)
ニューカレドニアはそのまま「新しいカレドニア」の意味だが、では「カレドニア」とは?答えは「スコットランド」で、正確にはローマ時代の「グレートブリテン島の北部」「古代ローマによる支配圏の外」といった意味の言葉。あのクック船長が1774年に同地へ到達した際に景色がスコットランドのようだと名付けたらしい。英仏共同統治時代を経てナポレオン3世時代の1853年にフランス領となってからは、フランス語で「ヌーベルカレドニー」となっている。
ニューカレドニアでは、6つのエリアに分かれた世界最大規模のサンゴ礁地帯が世界遺産に登録されていて、その中心にある本島が「大きな土地」を意味するグランドテール島。北西から南東へまっすぐ約385kmの細長いシルエットが特徴で、首都で一番の観光地のヌメアや空港は南側に位置する。
主要な離島は本島南端からすぐのイルデパンと、ウベア、リフー、マレの各島が東側に並行して並ぶロワイヨテ(ロイヤルティ)諸島。今回はそのうちウベア島を日帰りで視察したほか、ヌメアから船で25分程度と近いメトル島も訪問。また本島でもヌメアに加え中央部ブーライユのリゾートも体験することができた。
「天国にいちばん近い島」、ウベアで感じる生きた伝統文化
「天国にいちばん近い島」のフレーズは、50年以上前に出版された旅行記のタイトルで1980年代に映画化もされて人気となったもの。現在はニューカレドニア全体のブランディングにも利用されるが、物語の中ではウベアこそが「天国にいちばん近い島」とされている。
そしてそのウベアでは、後述の通りの美しい自然とともに先住民の伝統的な生活や文化が色濃く残っていたのが印象的。映画「天国にいちばん近い島」も観てみたが、景色や雰囲気は40年近く前の映像からほとんど変わっていないようだった。自給自足が一般的だったり、住民がココナツを採集しオイルを絞りそれによって発電し、余れば石鹸を作って販売し、絞った後の殻は家畜の飼料に…という生活は、サステナブルツーリズムの観点でも興味深い。
日本市場から見た特別さ
さらにもう一つ特記事項として、ニューカレドニアは1900年代の日本人移民による貢献もあって大の親日国でもある。加えて、日本人訪問者数も仏豪に次ぐ3位の規模で年によっては2位と逆転することもあるほど。中国や韓国を含めて他国からはまだ少なく、日本市場のプレゼンスが大きいという点でも稀有なデスティネーションだ。