髙橋会長「コンプライアンス遵守と業界の信頼回復を」 JATA総会、正会員数は微増
日本旅行業協会(JATA)は6月22日、第67回定時総会を開催。退任する志村格理事長に代わり、新たに蝦名邦晴氏(元日本通運 常務理事)が理事長に就任した。
会長の髙橋広行氏は総会の冒頭、国や自治体からの受託業務における相次ぐ不正事案に触れ、「コンプライアンスは経営の根幹に関わる問題。全てにおいて優先することを業界全体で今一度強く認識し、業界の信頼回復とコンプライアンスレベルの向上に取り組んでいかなければならない。」と述べた。JATAとしては今後、観光庁の指導のもとコンプライアンス遵守の徹底について対応策を検討、実施していく考え。
なお、観光庁からの指示を受けて行った総点検については、会員の約1割が同様の受託業務を取り扱っているとした上で、「現在のところ、さらなる不正事案の報告はない。」と述べた。
海外旅行の復活に注力
「観光業共通プラットフォーム」は23年度での事業開始か
加えて、冒頭挨拶で髙橋会長が強調したのは「海外旅行の復活」。会員各社から寄せられる、燃油サーチャージや宿泊費の高騰など、海外仕入れを取り巻く環境変化についての対応を急務とした上で、「海外旅行の復活なくして、旅行業界の復活なし。今年はJATAの総力をあげて海外旅行復活に取り組み、国内、訪日、海外、三位一体のツーリズムの復活を早急に実現していきたい。」と力強く述べた。
実際に22年度には、海外旅行再開ロードマップの作成や海外視察団の派遣、「今こそ海外」各種キャンペーンなどを通して海外旅行再開に向け機運醸成を図ってきた。2023年度の事業計画としては「海外旅行復活に向けた機運醸成活動の実施」「新たな海外旅行需要創造にむけた高付加価値素材の情報集約と開発促進」「海外旅行業務に従事する人材育成と研修推進」「安心・安全に係る情報の提供支援」の4点を、海外旅行推進業務における重要施策事業として取り組んでいく方針だ。
また、2023年度の事業計画では、JATAがこれまで構築を進めてきた「観光業共通プラットフォーム」について23年度での事業開始計画が盛り込まれた。観光業共通プラットフォームは、災害発生時における旅行者の安否確認と現地の状況把握を迅速・正確におこなうための「レジリエンス機能」と、観光業における生産性の向上と旅行者への情報提供力を向上するための「観光関連施設情報データベース機能」の2点を柱としたもの。事業開始に向けて、関係者とのコンセンサス作りやユーザーフレンドリーなシステム開発、会員会社及び観光関連事業者の参加登録の拡大などを進めていくという。
22年度 正会員は微増
2022年度の会員入退会状況は、正会員が入会46社、退会43社、除名1社で今年の3月末時点の正会員数は1113社(前年1111社)。協力会員が入会13社、退会23社、資格喪失3社で3月末時点316社(前年329社)。国内賛助会員が入会6社、退会4社、資格喪失2社で3月末時点80社(前年80社)。在外賛助会員が入会6社、退会8社、資格喪失36社で3月末時点287社(前年325社)となった。
正会員数は2019年度の1193社と比較すると減少しているものの、ここ10年ではほぼ横ばい。ただ、2020年以降は第1種旅行業会員数が減少し、第2種旅行業会員数が増加傾向にあるという。第1種旅行業正会員数は2020年度の610社から2022年度は569社に減少、対して第2種旅行業正会員数は2020年度250社から2022年度は261社に増加した。
なお、総会では正会員の2023年度会費減額案が承認され、3月末時点の正会員を対象に普通会費は年額50,000円減額されることが決まった。