【労務のいろは】令和5年度 中小企業が使える助成金・補助金

  • 2023年5月15日

■要件緩和で補助金が利用しやすくなった!?

 補助金は昨年に引き続き「IT導入補助金」や「事業再構築補助金」、「ものづくり補助金」など既存の制度が発表になっています。今年度は補助金額の見直しや各種要件が緩和され、これまでよりも利用しやすいものに変化しています。

 どの制度も生産性向上のためのITツール導入や業態・事業転換、設備投資などの費用を補助してくれるものですが、賃金上昇にも取り組むことで加点や加算されるものも多いため、賃金上昇に関連する取り組みも行えたらさらに採択率も高まるのではないかと思います。

【IT導入補助金】
 生産性・業務効率化を達成することを目的としたITツールの導入費用を補助してくれる制度です。複数の申請枠があり、各企業が抱える課題に合わせた申請が可能です。

・通常枠
ソフトウェア購入費用、クラウド利用料、導入関連費の費用が補助されます。ITツールの導入で、業務効率化・売上アップを図ることが目的です。

・セキュリティ対策推進枠
独立行政法人情報処理推進機構が公表するセキュリティサービスの利用料が補助されます。サイバー攻撃などのリスク回避が目的です。

・デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの経費が補助されます。インボイス対応も見据えた企業間取引のデジタル化を推進することが目的です。

 また、補助額の下限引き下げや撤廃で安価なITツールも選べるようになったり、クラウド利用料が1年から2年分の補助に延長される変更で利用しやすくなりました。

各申請枠の補助対象経費と補助率
出典:中小機構 IT導入補助金2023より(https://www.it-hojo.jp/overview/)

【事業再構築補助金】
 新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編といった事業再構築にかかる経費(建物費、機械装置・システム構築費など)を補助してくれます。

 変更点として「産業構造転換枠」「サプライチェーン強靭化枠」の新設などがありますが、「成長枠(旧通常枠)」の売上高減少要件(コロナ前より売上高10%以上の減少)が撤廃されたのは嬉しい変化です。これにより多くの企業が申請できるようになります。

事業再構築補助金(令和4年度第二次補正予算)の全体像
出典:事業再構築補助金 令和4年度第二次補正予算の概要より
(https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/hosei_yosan.pdf)

■まとめ

 原油価格や物価高騰など厳しい状況が続きますが、そのような中でも安定した事業継続を進めるために、今年度の動向を読み取り、助成金・補助金をうまく活用していくことをおすすめします。

 とはいえ、たくさんの制度が存在し、「どれが当てはまるのかわからない」、「制度内容を読み取るのも一苦労で、結局手が付けられない」という方も多いのではないかと思います。まずはお近くの社会保険労務士やコンサルタント会社など専門家に相談してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

岡部大介
特定社会保険労務士。医療労務コンサルタント。岡部社会保険労務士事務所代表/合同会社Deyコンサルティング代表社員。
東京都八王子市出身。大学卒業後、建設会社、サービス業を経験し、2006年社会保険労務士登録。2011年より岡部社会保険労務士事務所設立。手続き業務、給与計算、規程作成、助成金申請、労務相談を行いながらクライアントに寄り添うサービスを目指す。