業界ニュースを振り返る ー ホームエージェント型って本気で言ってますか?

  • 2023年3月19日

 いやあ、私はこういう書き方をするのは個人的にあまり是としていないんですが、ホームエージェント型代理業に関する記事は笑ってしまいました。建前でおっしゃられているならそれはそれですが、本気でこのホームエージェント型代理業が、業界全体の発展のために重要だと考えられているのであれば、私にはちょっと理解できません。

 まず、なによりも大前提として、JATAが昨年発表した提言は「人財確保/人財育成/人財活用」でしょう?そこで会長が「旅行業を持続可能な産業とするためには最も重要なテーマ」と位置づけたわけでしょう?なんでそこで「若者や新規企業の業界参入に向けた話」ではなくて「数年前だったらとっくに隠居していたような方々にもう10年働いてもらう話」がメインになるのか、どうも私には理解できないんですね。だってホームエージェント型って別にOB・OGの方々が持っている知見を若者に引き継ぐ接点がほとんどないじゃないですか。そりゃOB・OGの方が働いてくださる間はいいですけど、結局リタイアしたらその知見の殆どが途絶える気しかしないんですが。どこが「持続可能な産業とするために」効果的なのか教えていただきたい。

 そもそも、すでにリタイアされた方々の知見がどこまで役に立つのかも疑問です。皆さん最近のAIでGPT4とか触ったり見られたりしてますか?もうすごいですよ。ホワイトカラーのほとんどの人材が数年で要らなくなると言われても納得できる進化です。あのレベルで一気にテクノロジーが発展しているときに、これから数年先を見据えてやることがリタイアした人に助けてもらおうってことになりますかね。

 このプランが効果を発揮するのって「旅行会社が極短期的に低コスト低リスクで現状の旅行業界でのみ求められるスキルを持つ人材を体よく使いたい」か「旅行業界にだけはテクノロジーの進化の波が来ず、労働集約型産業のまま、新しく業界に参入してくる人が一定数いる」時くらいだと思うんですよね。都合が良いのか現実が見えていないかのどっちかなのでは?と思ってしまいます。

 もちろんこの制度が悪いことばっかりではないのは理解しています。これだけ不安定な世の中ですから、旅行業界では一般的に70まで働くことができるというのは悪くないですし、現状働かれたいOB・OGの方の救済にもなるでしょう。短期的に業界の労働力不足を救う手立てにもなるかもしれません。でも、どう考えてもこれがそんな優先される施策だとは思えません。リソースは無限じゃないのだから、投資すべきところに投資をしていくべきだと思いますけどね…