沖縄の修学旅行復活へ、キーワードは「SDGs」と「探究学習」
沖縄県と沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)は12月27日、東京交通会館カトレアサロンで「沖縄修学旅行 SDGs EXPO」を開催した。学習指導要領の改訂により修学旅行市場で高まるSDGsへの関心に応えるもので、会場には沖縄県内各地の観光協会や関連事業者など47団体・企業が39ブースを出展し、学校関係者や旅行会社との商談が行われた。またプレゼンテーションには出展者や航空会社らが登壇し、沖縄の修学旅行で体験できるSDGsプログラムや探究学習について紹介した。
挨拶に立った沖縄県東京事務所所長の平田正志氏は「昨今の学校では子どもたちが主体的・対話的に学ぶための学習が求められており、修学旅行でもそうした学びが実施できる地域が選ばれる傾向にある。本EXPOは探究学習やSDGs学習のような主体的・対話的に学ぶためのプログラムを提供する事業者へ直接相談できることを目的に実施する」と趣旨を説明した。OCVB会長の下地芳郎氏は「受け入れ側は感染対策を強化しながら、来ていただける皆様に満足していただける環境を作るのが責務」と述べ、「本EXPOには本島北部から周辺離島、宮古、八重山諸島まで多くの関係者が来ている。沖縄の価値は本島だけでなく島嶼性にある。小さな島に残る平和、文化、様々なところに目を向けてほしい」と呼びかけた。
修学旅行で沖縄を訪れる学校はコロナ禍の影響で2020年度、2021年度には大きく減少したが、2022年度は回復傾向にあり、10月には一般客も国内旅行者に限ればコロナ前を上回るまでに回復した。OCVBによると沖縄の修学旅行の入込み状況は2019年は2398校/40万9011人、2020年は395校/7万414人、2021年は381校/7万38人と推移し、2022年は1198校/22万3949人を見込んでいる。
OCVBでは修学旅行のさらなる回復に向け、体調不良時のフローチャートなどまとめた「沖縄修学旅行 防疫観光ガイドライン」や動画を作成するほか、沖縄への修学旅行を実施する学校に対し事前・事後学習に必要な知識を持つ人材を派遣する「アドバイザー派遣事業」や、修学旅行の事前視察費用を支援する「模擬体験提供事業」なども行っている。コロナ関連の2022年度の事業としては、このほかにも沖縄県観光振興課が展開する「修学旅行緊急時支援事業」があり、修学旅行中に陽性者、濃厚接触者となった生徒およびその保護者に延泊費や交通費を支給している。
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