【発行人コラム】2022年を振り返り、2023年を展望して

  • 2022年12月26日

 読者の皆さま、本年もご愛読、ありがとうございました。

 私が生まれる前の事ですが1956年日本政府は「もはや戦後ではない」と経済白書にて宣言しました。これは前年の1955年にGDPが終戦から10年目にしてはじめて戦前の水準を上回り、復興期から高度成長期という新しい時代に入っていくのだと言う「明るい先見」を示したわけでは無く、戦後10年の成長を支えた復興需要という特需が無くなり、厳しい時代を迎えるとの憂慮を示したものだとされています。

 しかし見事に、そして幸いにも文字通りこれは杞憂に終わり、日本は高度成長期へと入っていきました。

 我々観光産業も1956年の日本政府にならい、雇調金をはじめとした各種補助金やワクチン接種・隔離に伴う受託事業、全国旅行支援による特需や事務局受託が無くなる前提で新しい未来を切り開いていく覚悟を示してこそ、浮かぶ瀬も見えてくるのだと思えてなりません。

 新たな未来を切り開くことに専心し、変わることを厭わず、新たな価値を創造するために必要であれば国に支援も求める、それが真の意味で観光産業復活を実現する方法なのでは無いでしょうか。

 来る2023年が観光産業反転攻勢の年となることを願いつつ、年間記事ランキングにて2022年を振り返って見ます。


•年間ランキング、上位30記事
1位海外旅行復活は「0からのやり直し」、4つのフェーズで慎重な取り組みを-JATA経営フォーラム
2位【会計士の視点】HISのGotoトラベル不正受給問題とは何だったのか、決算の影響は?
3位【台湾現地レポート】外国人観光客の受け入れ再開へ本腰、国内旅行も活発に
4位【仕事を変える】大手旅行会社から独立、ニッチな宿泊需要を取り込む-MATCH松宮英範氏
5位【仕事を変える】アナウンサーから旅行業界に転職、コロナ禍で見た勝機とは-令和トラベル広報・大木優紀氏
6位【弁護士に聞く】ダイナミックパッケージの問題点?
7位「旅行を売りたければ旅行以外を売る」安定収益を目指すこれからの旅行会社とは―シティツアーズ代表取締役 日比幹氏
8位往来の通常再開は今秋か、JATAが旅行再開へのロードマップを更新
9位和田長官「国内外の観光に明るい兆し」 全国旅行支援は感染状況を見極めて
10位【弁護士に聞く】濃厚接触者と認められた場合、休業手当は?
11位民事再生を経て再就任した近藤代表に聞く、ホワイト・ベアーファミリーの現在
12位【発行人コラム】「海外旅行に行けない今」⇒いや、行けます
13位星野リゾートがハイアット大阪内にリゾナーレ、供給過多対策の一手-全国旅行支援やOMOエアポートホテルも、秋発表会
14位フランス渡航の出国から帰国までをレポート、PCR検査は難しい?旅行会社のサポートの必要性も
15位【会計士の視点】海外旅行メイン、店舗型ビジネスの会計リスクを分析-エイチ・アイ・エス編
16位「ソリューションビジネスのさらなる発展を」JTB山北社長が描く10年後の姿とは-新春インタビュー
17位ハワイの「今」を駐在員の視点から-増える犯罪件数、観光客が気を付けるべきポイントは
18位割引という施策が旅行者の質を変える-RT Collection 柴田真人氏
19位業界ニュースを振り返る ー 旅行会社の生き残れる道なんて二択しかない
20位HIS、中間期は過去最大の純損失269億円も、「いい兆候たくさん」
21位新潟・高柳じょんのび村、HIS出身の社長が立て直しに挑戦、赤字経営から半年で脱却
22位「痛みを伴う改革をした以上、絶対にやり遂げる」 名鉄観光サービス代表取締役社長 拝郷寿夫氏
23位KNT-CT、21年度下期に黒字化、今年度も利益40億円に自信
24位日本のOTAは復調傾向か、今後の注目は「メタバース」-WiT JAPAN 2022
25位海外旅行は行きたいけれど、最初の一歩を阻むのは「不安」、Z世代が旅行会社に求めるものは?
26位HIS、GoTo不正は平林前社長主導、ミキは社長ら解任へ-返還最大6.8億円
27位JTB、21年度は284億円の最終黒字、本社ビル売却が寄与、22年度は営業黒字へ
28位中小旅行会社の生き残り策は事業拡大?新規事業?3社の事例から考える-JATA経営フォーラム
29位【ホテル総支配人リレーインタビュー】第15回 ヒルトン沖縄北谷リゾート・ダブルツリーbyヒルトン沖縄北谷リゾート統括総支配人 宍倉裕氏
30位JTB、リブランディングで「世界一の旅行会社」から「あらゆる交流を創造する会社」へ、旅行の重要性は変わらず

 上位30記事の内、JTBやHIS等大手企業及びJATA等業界団体関連が三分の一を占めています。これは大手企業の社員の方々の読者数やネームバリューによる注目の結果として、例年ほぼ同じ傾向となります。

 先ず注目したいのは4位・5位に入った「仕事を変える」シリーズで、一方は大手旅行会社からの観光産業内での独立、もう一方は異業種、それもアナウンサーからの観光産業への転身の記事です。これは個人でも変わる必要や希望を持っている方がそれなりに居られ、それも産業内での転身をイメージしているとすれば、喜ばしいことだと思います。また「会計士の視点」や「弁護士に聞く」等の独自コラムが複数上位に入った事は発行人としては嬉しい限りです。

 そして最も注目していただきたいのが7位にランキングされた「旅行を売りたければ旅行以外を売る」と題したシティツアーズ日比社長の記事です。中部では知名度が高いものの、失礼ながら全国的に社名が知られているわけでは無いにも関わらず、並み居る大手企業のトップインタビューを押さえ、インタビュー部門では堂々の1位となりました。

 コメントにも有るように、日比社長の取組が本当に参考になった、大手以外でもコロナ禍中でもしっかり利益を出せる事を知り希望が持てた等々読者の方々に自分ごととして読んで頂けたのでは無いかと思います。

 来年以降ももちろん大手やピカピカのベンチャーの動向もお伝えしていきますが、中小規模や個人の方にも参考になる記事も数を増やして、お届けしたいと思っております。

 先に発表させて頂いた通り、当社は一部事業を譲渡しますが、当トラベルビジョンや客室の買取事業、コロナ禍に着手した新規事業に集中し事業を行って参りますので、今後とも当社エフネス及びトラベルビジョンに変わらぬご支援をお願い申し上げます。

 皆さま、どうぞ良いお年をお迎え下さい。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、32周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、観光産業を構成する中小及び個人事業主連合会(TIFS)会長​