JTB、リブランディングで「世界一の旅行会社」から「あらゆる交流を創造する会社」へ、旅行の重要性は変わらず
JTBは11月28日、「交流を創造し挑戦し続ける、 多様性あふれるダイナミックなブランド」への進化を掲げ、2023年4月からリブランディングを実施していくことを発表した。リブランディングは1988年以来35年ぶりとなる。
JTBは2020年度に「『新』交流創造ビジョン」として中期経営計画を策定。フェーズ1では経費構造改革を断行し、2022年度から2024年度のフェーズ2は「回復・成長」の時期と位置付け、事業モデルの変革を推し進めている。2023年度から2025年度はリブランディング期間として、2025年度からのフェーズ3「飛躍・成長」期に向け、事業活動とブランド構築活動の両輪でJTBグループを新しいブランドへと進化させていく。
JTBでは社内外への調査を踏まえ、今年4月にブランド中核概念と同社の価値観「ONE JTB Values」を策定し、グループと社員のあり方を表す「The JTB Way」に導入した。そのなかで、一般的なJTBグループのイメージとJTBグループが目指す姿に乖離があることが明らかになり、特に旅行以外のビジネスへの認知度の低さが課題となった。同社はリブランディングを通してこの乖離を埋め、ブランドイメージの刷新により事業変革を加速させる考えだ。
JTB執行役員高崎邦子氏(高ははしごだか、崎はたつざき)は、リブランディングで目指すのは顧客視点で新たなブランド体験を創り出すこと、また顧客がその体験を通じてJTBらしい世界観やブランド中核概念を知覚することだと説明。「旅行は交流創造事業の最も大事なコンテンツであり、これは変わらない。例えばマーケットの状況に合わせて店頭の数は調整していくが、これから伸びていく地域があれば店頭を作る。旅行の目的も昔とは変わってきており、新たな要望に応えるために、交流創造事業のカテゴリの中に旅行をしっかり入れていく」と強調した。
多様性あふれるダイナミックなブランドへ
新しいコーポレートブランドロゴでは、これまでの「名実ともに世界一の旅行会社」のイメージ訴求から、「あらゆる交流を創造する会社」へとイメージの転換を図る。現在のJTBマークに込められた思いとデザインの利点を引き継ぎつつ、単色表示とし、背景に体験価値やメッセージに合わせた色を選択できるようにすることで、多様性や可能性を表現する。背景色は現在のコーポレートカラーであるダイナミックレッドとグレーを含めた12色で展開。背景が白の場合、ロゴはダイナミックレッドの単色表示となる。背景色の選定方法は会社としては規定せず、顧客や内容に合わせて社員が主体的に選択できるようにするという。
リブランディングは2023年4月から本格的に開始するが、これに先駆けてコーポレートサイト等では既に新たなロゴを採用している。店頭のネオンサインやプロダクトブランドでの扱いは来年度以降に整理して展開していく予定だ。高崎氏は「ロゴの色自体がブランドの世界観を規定するところから、ブランド全体のストーリーや体験を重視したブランディングにシフトしていきたい」と話した。