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KNT-CT、4四半期連続で黒字、円安で海外・訪日は明暗-バス事故再発防止も

  • 2022年11月9日

 KNT-CTホールディングスが11月9日に発表した2023年3月期第2四半期累計期間(2022年4月1日~2022年9月30日)の連結業績で、売上高が前期比85.5%増の1067億3100万円となり営業損益は84億8300万円の赤字から20億2500万円の黒字に転換した。営業黒字は4四半期連続。経常利益も59億2500万円の赤字が25億2800万円の黒字、純利益は68億5300万円の赤字が25億6400万円の黒字となっている。

(左から)専務取締役の三宅貞行氏、代表取締役社長の米田昭正氏、専務取締役の小山佳延氏

 コロナの影響のなかった20年3月期と比較すると売上高は50.4%減と道半ばだが、営業利益と経常利益はそれぞれ40.0%減と25.5%減まで戻しており、純利益は24.8%増。通期予想も据え置き、売上高が2020年3月期の3854億円に対して2590億円に留まる一方、営業利益は25.3億円から40億円へと増加するとした。

上半期連結業績推移

期間売上高(前年比)営業損益(前年比)経常損益(前年比)純損益(前年比)
23年3月期1,067.31億円(+85.5%)20.25億円(-)25.28億円(-)25.64億円(-)
22年3月期575.46億円(+262.7%)-84.83億円(-)-59.25億円(-)-68.53億円(-)
21年3月期158.65億円(-92.6%)-231.79億円(-)-157.34億円(-)-168.46億円(-)
20年3月期2,150.69億円(+3.6%)33.73億円(+120.9%)33.95億円(+98.4%)20.55億円(+24.4%)

 こうした利益率の改善は、希望退職による人件費や店舗の統廃合による賃料の削減と自治体などからのBPO受託を中心とした非旅行事業の増収が大きい。非旅行業の売上は4年前の10倍に増加しており、売上に占める割合は2019年3月期には2%程度だったが今年度は25%の規模にまで拡大するという。

 ただし利益率について代表取締役社長の米田昭正氏は、「2018年度で0.6%で良くなったと言っても1.5%。他の業界からは考えられない収益構造」と言及。その上で「なんとかこれを世間並みの、4とは言わないが3くらいまで」戻したいと語り、非旅行事業を成長させ旅行事業との比率を1対1の水準にまで引き上げたい考えを示した。

©KNT-CTホールディングス

23年度回復見通し、国内9割、海外2割、訪日7割

 旅行事業では、コロナの感染拡大や円安など厳しい環境であったものの、国内旅行は2019年3月期比で前年が70%減だったところから50%減にまで回復。海外個人旅行も皆無だったところから約90%減となった。

 来年度については、国内は通年で10%減にまで戻すと想定。全国旅行支援については、需要は順調に伸びているがどちらかと言えば助成自体よりも“メッセージ効果”の方が大きいとの分析で、支援終了による反動減は懸念していないという。

 海外と訪日は円安の影響で明暗が分かれ、海外旅行については保守的に近畿日本ツーリスト、クラブツーリズムともに80%減までしか回復しないとした。一方、訪日はすでに「MICEでもメールに回答するので精一杯」の状況となるなど「予想よりはるかに早く回復」しているところで、KNTは30%減までの回復を見込んでいる。

 このほか、旅行形態別では修学旅行も回復が進んでおり、2年前は半分程度がキャンセルとなったが昨年は行き先の変更や旅程の短縮はあったものの件数はほぼ減らず、今後もこの傾向は変わらず「あっという間に戻ると思う」とした。また一般団体は、通常の数年先の予約は順調に入っている一方で、2ヶ月先のインセンティブの問い合わせが入るなどリードタイムの短縮化傾向も確認できているという。

 旅行観光産業で世界的に課題となっている人手不足については、人員削減はしたもののグループ内人材派遣事業の活用あって「OBやシニアが活躍して社内はなんとか回っている」状況。今後については、個人店舗は当初150あった店舗数を29に削減したがさらに追加で縮小予定だが、団体店舗は95から75とした現行の規模を維持する。人員も総数としては減らさない方針で、むしろ「365日採用あり」として中途採用も積極的に実施していく。

バス事故受け「安全管理部」設置

 10月13日に発生し死亡者も出たバス事故については、会見の冒頭で改めて謝罪するとともに再発防止の施策を説明。11月9日付けてグループ会社の安全管理を総括する独立部門として安全管理部を設置しており、安全に関するガイドラインの作成、全ツアーの行程期間、関係機関の安全性の再確認などに取り組んでいく。

 取引先の安全性の確認については、今回のバス運行会社が日本バス協会の会員でセーフティバスの最高ランクの評価を得ていたことから、選定基準自体も見直していくという。

 なお、事故によるクラブツーリズムの国内旅行への影響はバス旅行を中心に「数十億レベル」で出たものの、現在は落ち着いてきたという。