JATA、知床観光を支援、8社で「道東プロモーション」展開

  • 2022年10月28日

 日本旅行業協会(JATA)は10月27日の定例会見で、北海道および北海道観光振興機構の協力のもと、道東エリアへの誘客拡大を目的としたプロモーションを実施することを発表した。

JATA副会長の小谷野悦光氏

 北海道で唯一、世界自然遺産に登録される知床だが、新型コロナウイルス感染症による来訪者の落ち込みに加え、4月に発生した観光船事故以降、観光への影響が長引き、周辺地区も含め多くの観光関連事業者が厳しい経営状況に置かれている。観光船事故では未だ行方不明者の捜索が続いているなかプロモーションを決めたことについて、JATA副会長の小谷野悦光氏は「送客への取り組みを実施することについては慎重な配慮が必要だと考えているが、一方で日本を代表する素晴らしい観光資源を有する地域の皆さんが、このままではやっていけなくなる危機感が強い」と説明した。

 日本旅館協会北海道支部連合会によると、今年4月から9月の宿泊者数は北海道全体では21年対比91%増、19年比38%減だったが、知床については21年対比45%増、19年対比44%減にとどまった。北海道経済部観光振興監の山崎雅生氏(崎はたつざき)は「道民割やGo To トラベルなどの需要喚起策も実施してきたが、中心部から離れた知床や道東は厳しい状況に置かれている。そうしたなか4月に旅客船事故が起きた。知床は6月から9月の繁忙期に1年分を稼がなければならないエリアだが、この夏はその需要がほとんどなくなってしまった」と窮状を訴えた。道東では阿寒や層雲峡、網走など周辺地域を含めて需要が落ち込んでいるという。

北海道経済部 観光振興監の山崎雅生氏

 プロモーションでは、全国旅行支援(北海道では「HOKKAIDO LOVE!割」)をきっかけとして、閑散期にあたる冬の道東の需要喚起を図る。近年北海道はアドベンチャートラベルに力を入れており、23年にはアドベンチャートラベルの世界サミット「アドベンチャートラベル・ワールドサミット2023」の北海道開催も控えている。山崎氏は「欧米のアドベンチャートラベル層に聞くと、道東・知床の一番いい時期は冬と言われる。日本の皆様が知らない冬の知床の良さをPRしたい」と意気込みを語った。

 JATA会員からは、近畿日本ツーリスト、クラブツーリズム、日本旅行、JTB、東武トップツアーズ、エイチ・アイ・エス、読売旅行、阪急交通社がプロモーションに参加する。全国旅行支援の対象となる知床・道東エリアへ旅行商品を造成するほか、北海道、北海道観光振興機構と共同でPRを展開する。

 また、JATAが実施している国内旅行需要喚起策「笑う旅には福来たる」キャンペーンでは、新たに「北海道賞」を設定。対象期間にJATA会員旅行会社で1人当たり1万円以上の北海道への旅行商品を購入し、旅行した人から抽選で10人に、「次回北海道旅行に使用できる旅行券2万円分」をプレゼントする。