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観光のサステナビリティ、コロナ機に取り組み強化を-TEJ観光大臣会合、官民連携訴え

自然に生かされる観光業こそ環境保全を

フィリピン観光副大臣のシャリマル・ホファ・タマノ氏

 フィリピンでは、海面上昇や過去に例を見ないような頻度と規模で猛威を振るう台風、干ばつなどの影響に見舞われており、タマノ副大臣は「観光業は美しい自然環境と資源によって成り立っており気候変動対策にも重要な役割を担うべき」と断言。「観光省の使命は観光を売り込むことと同時に保護すること」「最も重要なのは数字ではなくビジネスチャンスと社会的責任の両立」「どんな事業も利益だけでは繁栄できない」であるとし、責任ある観光についての観光客への教育や自然保全の取り組みを他の省庁などと協力して進めているという。

 また、成功への鍵については、「国づくりの呼びかけに国民がどう応えるか」にかかっているとし、国民に「変化を起こす力は自分たちの手の中にある」ことを実感させ、観光振興を「誇りの源」とすることも重要とした。

国内経済格差など社会課題の解決も両輪で

カンボジア観光省国務次官のトック・ソコン氏

 一方、カンボジアのソコン国務次官は気候変動とともに貧困にも同時に取り組むため、コミュニティを基盤とした観光などにより公平な利益配分を全国的に進めていることを説明。旅行者1人に植林1本のキャンペーンなどを通して、企業やNGOとも連携しながら「一生に一度は訪れたいワールドクラスの観光地」と「遠隔地の貧困問題の解消」の両立を目指している。

ウズベキスタン副首相兼観光文化遺産大臣のアジズ・アブドゥハキモフ氏

 また、ウズベキスタンのアブドゥハキモフ副首相によると、中央アジアは気候変動による影響を特に強く受けており、同国はそうしたなかでエコシステムや生物多様性を保全し天然資源の注意深い活用、再生可能エネルギーや水素エネルギーへの転換、2億本の植樹などを実施。2030年にエネルギー効率を現在の2倍に高め、再生可能エネルギーのシェアを最低でも25%とし、温室効果ガスの排出量を2010年比で35%減とし、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げている。

 PPPについては、山岳部を中心に観光開発に取り組んでいる事例を紹介。20軒以上のゲストハウスを自発的に立ち上げた地域に対し道路や電気、水道の整備を政府が負担することで、「4年前は1軒もなかったゲストハウスが今は4000軒近くに増えた」という。

「コンシャスコミュニティ」で「コンシャストラベラー」誘客

太平洋アジア観光協会(PATA)副会長のベンジャミン・リャオ氏

 PATAのリャオ副会長は、アジア太平洋内で旅行者がサステナビリティへの関心を高めていること、そして地域側も持続可能なかたちでコロナ禍からのリカバリーを願っていることを指摘し、それぞれ「コンシャストラベラー」と「コンシャスコミュニティ」と表現。「よりポジティブな未来に向けて投資し方針転換するのは今」であると断言するとともにそれが人材確保にも繋がることを指摘し、PATAとしても戦略策定や使い捨てプラスチックの排除、ホテル向けネットゼロ戦略などのオンライントレーニングを提供していることを明かした。

国土交通副大臣の石井浩郎氏

 日本からは石井副大臣がUNWTO駐日事務所と連携して国際基準に準拠した日本版持続可能な観光ガイドラインを策定したことなどを紹介。「地球温暖化や環境面を単独で捉えるのでなく、経済社会も含めてそれぞれの地域がそれぞれの観光資源を生かしながら着実に持続可能な観光地マネジメントを進めていくことが重要」などと語った。

 PPPでは、PATAから示された「コンシャスコミュニティ」にも通じる事例である、観光と漁業の関係者が連携して観光開発に取り組んでいる鳥羽市と、地域全体でサステナビリティの取り組みに力を入れている支笏湖の取り組みを紹介した。