HIS、ハワイと提携し再生型観光に全力、「マラマハワイ」推進

  • 2022年9月24日

 エイチ・アイ・エス(HIS)は、ハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)/ハワイ州観光局(HTJ)との提携のもとレスポンシブルツーリズムの取り組みを強化していく。東京で開催されたツーリズムEXPOジャパン2022の会場で9月24日に発表した。

(右から)HTJヴァーレイ氏、HTAデ・フリーズ氏、HIS矢田氏、HIS飯田氏

 ハワイでは観光客が長年に渡って殺到して環境や市民生活に悪影響を及ぼすオーバーツーリズムが課題となり、コロナ禍もあって自然保全や文化継承の重要性がさらに注視されている状況。こうしたなかでHTAも「思いやりの心」を意味する「マラマ」をテーマに再生型観光の振興に大きく舵を切っており、HISはその「マラマハワイ」の取り組みに賛同したかたち。

 HIS代表取締役社長の矢田素史氏は「ハワイの観光ブランドを維持、強化しながら自然保全、文化継承、地域社会の豊かな創造に貢献していくことを目的に、10個の取り組みで責任ある観光と再生型観光を推進していく」と説明。そしてHISの企業理念である“自然の摂理にのっとり、人類の創造的発展と世界平和に寄与する”が「マラマの精神そのもの」であるとし、「ハワイの未来に貢献し、また将来のツーリズムの先駆けとなるよう全社をあげて取り組んでいく」と語った。

 来日したHTA本局局長兼CEOのジョン・デ・フリーズ氏は、「ご自身にとって心を癒やしてくれるような一番大切な場所に対して感じる特別な気持ちがアロハであり、それを守ろうとする思いがマラマ」であると説明した上でHISのコミットメントに謝意を表明。

 またHTJ日本支局局長のミツエ・ヴァーレイ氏も「これから旅は変わっていく」と語り、日本人旅行者に現地で住民との交流などを通して「もっと深い体験や歴史を体験してもらえるような新しい商品開発」「地球にやさしい旅、マラマな旅」をHISと共同で進めていくと意欲を語った。

 そしてHIS執行役員海外旅行営業本部長の飯田憲史氏は、「何十年、何百年後もハワイが持つ素晴らしい伝統文化や美しい自然環境を守っていく」と目的を説明し、直営する全店舗をHTJの認定サテライトオフィス化すること、社員向けの教育プログラムを新たに新設することなど10個の取り組みについて紹介。教育プログラムについては、HTJ監修のもとで社内にトレーナーを育成しそのトレーナーが教育プランを立案して運営していくという。

【10の取り組み】
1. 未来に繋がる持続可能なハワイ旅行を推進するため、社員向け教育プログラムの導入と運用
2. 持続可能なハワイ旅行を推進するために全直営店舗でハワイ州観光局認定サテライトオフィスを目指す
3. 日本からの旅行者とハワイの生産者を繋ぎ、メイドインハワイの商品紹介と販売
4. 日本でハワイイベントを主催または共催し、日本とハワイを繋ぐ「マラマハワイ」のムーブメントを醸成
5. 店舗、WEB、SNS、パンフレット等による日本とハワイ双方の「マラマハワイ」の全方位情報発信
6. 再生型観光の旅行商品を提供することで、個人手配を含む全旅行者における満足度を向上
7. 再生型観光の体験ができる「ハワイ州観光局公認マラマハワイツアー」の企画と販売
8. 旅行業の枠を超え、安心、安全のサービスの提供と追及
9. ハワイの自然保護、文化継承などの取り組みへの協力と企画販売
10. 旅行者と地域社会を繋ぐことで、双方の満足度を高め、地域社会に還元

 さらに9月24日からマラマハワイの専用商品の販売を開始したほか、ホノルルではイオラニ宮殿やビショップミュージアムなど歴史・文化スポットを巡回するLeaLeaトロリーの新ルート「マラマライン」を11月に新設。このほか、現地NPO団体の活動に参加できる無料シャトルの運行も予定している。

 飯田氏は、こうした取り組みについて「全世界のツーリズムに従事する皆様のロールモデルとなれるよう、大きな経営資源をマラマハワイの推進に投下し全力で取り組んでいく」と強調。質疑応答では、ハワイへの送客においても高付加価値商品の造成強化による現地での消費額や客室単価の上昇、滞在日数の増加に取り組むこと、植樹など環境保全への取り組みが優れているホテルを活用することなどによってより持続可能な旅行の実現を目指すことを説明。さらに、まずは最重要デスティネーションであるハワイから開始し、継続的にその他のデスティネーションにも取り組みを広げていきたい考えを示した。

 なお、会見では今年4月にHTJがマラマハワイアンバサダーに任命したモデルのローラさんによる動画メッセージも再生され、ツーリズムEXPOジャパン2022に来場した消費者にもマラマの意義と賛同を呼びかけていた。