ノーマスクで歩くと目線を感じる日常-RT Collection 柴田真人氏
第21回目のコラムは、「ノーマスクで歩くと目線を感じる日常」をテーマに書いてみたいと思います。最近、日常生活の行動の中でマスクをしない場面が少しずつ増えてきました。外を歩いていると歩行者以外にもランニングやウォーキングをしている人や自転車に乗っている人など、マスクをしていない人をよく見かけるようになりました。
マスク着用への意識の差
私は、厚生労働省が「屋外でマスクを外してもよい場面」という動画やCMを配信し始めてから、外を歩くときはノーマスクでいることが多いです。例えば、近所にある飲食店へ行く際は、ノーマスクで歩いて行き、お店に入る直前にマスクを着用し、注文をするときと料理が来るまでの間もマスクの着用を継続、食事中はマスクを外し、食べ終わって支払いをするときは再度マスクを着用、そしてお店から家まではまたノーマスクで歩いて帰るみたいな行動をとっています。時と場合によっては、ノーマスクの時間の方が長いこともあります。
そんな矢先、次のような出来事がありました。いつものようにノーマスクで近所の道を歩いていると、年配のおばあちゃんとすれ違うタイミングがありました。そのおばあちゃんは日傘をさしており、すれ違う数メートル手前でその日傘を使って、私に対して盾を構えるようにして上半身を隠し、すれ違った後に日傘を元の位置に戻して歩いて行きました。これはとても極端な例にはなりますが、ノーマスクの人に抵抗があるのだろうと感じました。ノーマスクで歩いているとこのように「目線」を感じたり、「距離」をとられることが今もあります。
先日の国土交通省の中部運輸局が行政処分をした伊豆箱根バスの事例を振り返ると、事の発端はノーマスクの乗客とのトラブルです。そのトラブルが発端となり、停留所以外の場所で乗客を降車させ、結果として、①正当な理由が無く、運送の継続を拒絶した、②事業計画及び運航契約に定めるところに従い、その業務を行っていなかった、③主として運航する路線の状態及びこれに対処することができる運転技術並びに自動車の運転に関する事項について、運転者に対する指導監督が不適切であった、という3つの法令違反および違反条項により、行政処分がなされています。
運行上、停留所以外で乗客を降車させるのはもちろんしてはいけないことで、行政処分がなされたことは受け入れるべきです。ただ、運転手にとっては他の乗客がいる中でサービスを利用してもらうためにマスクの着用をお願いしたはずでしょうし、他の乗客にとってはそのサービスを利用するにあたって感染防止対策のルールに従った上で乗車しているということもあると思います。一方で該当の乗客にマスクの着用ができない理由があったかもしれません。いずれにしても、事の発端がノーマスクについてのトラブルだっただけに、行政処分という結果になってしまったことは非常に残念でした。
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