アフターコロナの体験アクティビティ予約に見出す勝機-KKdayグループ日本支社長 大淵公晴氏

  • 2022年9月1日

インバウンド、海外、国内でナンバーワンを目指す

-「アフターコロナの状況に既存のやり方では対応できない」とはどういうことでしょう。

大淵 アフターコロナの状況を想像するに、人間の本能につながっている旅行の需要は確実に回復するはずですが、旅行を選ぶ視点は大きく変化するでしょう。現在の旅行業界は、デジタル対応も含め、そういった変化への対応は上手くありません。

-KKdayのグローバル戦略の魅力とは何ですか。

大淵 初めからグローバル市場を本気で取りに行っている点です。台湾の人口は2000万人で国内市場だけでは成長に限界があるため、狙いはグローバルです。KKdayは2014年に創業し2年後の2016年には日本支社と韓国支社を作っています。その市場でサービスが浸透する前に拠点をどんどん作り、グローバル展開を目指すわけです。すでに台湾を含めアジア圏の12か国・地域に支社を設け、全体で約700名の従業員がいます。

 デジタル対応、IT技術の面でもグローバルなレベルを目指しています。年内にはグローバルで約1000名まで社員を増やす計画ですが、うち200名は技術部門。それもかなり優秀なIT人材が集まりそうです。優秀なIT人材はGAFAを頂点とする好待遇に引き寄せられ、日本のスタートアップではなかなか人材を確保しづらい状況です。そのなかでKKdayは健闘しており、私から見ても優秀な技術陣が揃っています。

-各国でグローバル展開していたKKdayはコロナ禍にどう対処したのですか。

大淵 各国支社は国内旅行に専念しました。日本は国内商材が充実したアクティビティジャパンがあったので、比較的専念しやすかった面もありますが、国内だけですでにコロナ禍前の日本市場での販売実績を超えました。各国支社も国内商材の開拓を推進し、結果的にそれがグループ全体のグローバル化をさらに押し進めることにつながりました。基本的に国内商材はインバウンド商材と重なる面が多く、インバウンド商材も強化されたからです。

 各国で獲得した顧客層は、他の地域にとっても大切な顧客になります。例えば日本の国内商材をインバウンド用に英語へ変換して情報をアップし、販売可能地域を他国に指定すると、今度はそれを見た他国の支社が現地語に翻訳して販売できます。このようなグローバルなシステムが出来上がっているため、グローバル規模の販売力を背景にサプライヤーとの関係も強化できます。

-コロナ後に向けて力を入れていくのはどの分野でしょうか。

大淵 日本支社では今後、需要が確実に回復するはずのインバウンドとアウトバウンド、それに国内を含めた3方向すべてを強化していきます。ですから国内とインバウンドの補完関係を築くことが可能で、サプライヤーにも喜ばれる状況を生み出せます。たとえば国内客は土・日の週末に集中しますが、国内客が減る平日にはインバウンド客を送客できます。

 とはいえ、SEOを含めたビジネスの成熟度から見て国内はレッドオーシャン化しており、やはり成長が期待できるのはアウトバウンドとインバウンドです。3方向へ展開できるのはKKdayとアクティビティジャパンという2つのプラットフォームを持つ強みです。

-現在、日本支社の事業はどのようなフェーズにありますか?

大淵 今は成長に向けた体制づくりの段階で、積極的に人材採用を強化しています。現状ではアクティビティジャパン部門で約40名、それ以外で約30名の合計約70名ですが、これを当面100名にまで増員し、3方向すべてを円滑に回せる体制を整えたいと考えています。なるべく早く収益面でも成果を上げなくてはなりませんし、将来的には上場も視野に入れていますが、まずは体制を整えることを優先しています。

次ページ >>> コロナ禍で変わったチケット販売分野にも注目