豪クイーンズランド州は「準備万端」、航空路線の回復・拡充へ総力

  • 2022年7月25日

 オーストラリアのクイーンズランド州から、州政府観光局とブリスベン経済開発局、ゴールドコースト観光局、ケアンズ観光局の要職が来日し、7月21日に東京で旅行業界向けにセミナーを開催した。

(左から)TEQ最高経営責任者のリアン・コディントン氏、ブリスベン経済開発局最高執行責任者のジュリエット・アラバスター氏、ゴールドコースト観光局ステークホルダー&ストラテジー長のレイチェル・ハンコック氏、ケアンズ観光局セールスマネージャーアジアの坂本サム氏

 オーストラリアは昨年末から観光客の受け入れ再開に舵を切り、この7月6日にはワクチン未接種でも入国が可能となるなど旅行観光産業のリカバリーに向けて着実に前進しているところ。クイーンズランド州政府観光局(TEQ)CEOのリアン・コディントン氏は冒頭、「クイーンズランドはすべてが“Good to Go(準備万端)”だ」と挨拶。そして、日本市場について「最大限コミットしている」と語り、旅行者の誘致に意欲を語った。

 「Good to Go」はTEQがコロナ禍で採用したメッセージで、各種のプロモーション動画なども作成し公開している。

 リカバリーに向けては、航空路線の復旧と新規誘致に向けて州から100億円の予算を確保し、マッチングファンド形式で州内の空港からも同額を投下。州内4つの国際空港において日本を含め国際線の拡充を目指す。コディントン氏は、「オーストラリア政府観光局、各地方観光局、業界、航空会社と協力し、決定された路線が必要な支援を受けられるよう」にすることで長期的に持続可能な形で路線網の再建と再拡充を目指すと語った。

 なお、日本路線ではジェットスター航空が7月20日から成田/ケアンズ線の運航を再開したほか、7月26日には関空/ケアンズ線も再就航。8月2日には成田/ゴールドコースト線を再開することが決まっており、11月にはカンタス航空もブリスベン線の再始動を計画しているという。

各都市で開発など続々

 セミナーでは、州都ブリスベン、ゴールドコースト、ケアンズの順に現地最新情報のプレゼンテーションを実施。このうち2032年のオリンピック・パラリンピック開催が決まったブリスベンでは、オーストラリアで3番目に大きな都市であり最も急速に成長している都市であること、2020年に空港の第2滑走路や新クルーズターミナルが完成したこと、2023年には市中心部で約3600億円を投じるクイーンズワーフの再開発が完了しIR施設として稼働予定であること、地下鉄の建設も進んでいることなどを紹介した。

 また、ゴールドコーストはロックダウンの期間が短く済み、州内や国内の需要に支えられて観光開発を継続。2年半で10億豪ドルを投じてきており、例えば空港では2037年までに旅客数が2倍に増加するとの見通しの元、ターミナルの拡張を実施。既存ターミナルと同じ大きさのターミナルを3階建てで増設したもので、搭乗橋も新たに追加。また、「ザ・スター」の敷地でドーセットが開業するなど再開発が進んでいるほか、ランガムが30年ぶりとなるオーシャンフロントホテルとして開業していることも説明した。

 ケアンズでは、「私を満たす 私が変わる」をキーワードとし「色々な体験を通して自分を見つめ直したり一歩前進したと感じられたりするデスティネーション」として訴求していることを紹介。コロナ禍のアップデートでは、こちらも空港のリノベーションが完了したほか、コンベンションセンターも拡張工事が12月に完了予定。さらにエスプラネードでも一般車両の通行を禁止して道路を半分に減らし、その分ダイニングエリアを拡張するなど旅行者に優しい街づくりが進んでいるという。また、スーパーカーやラグジュアリーカー専門のレンタカーなどアトラクションや現地ツアーも充実しているとし、販売強化を訴えた。