【シンガポール現地レポート】Dear Japan シンガポール人は早く日本に行きたくてたまりません。

  • 2022年7月20日

人材不足が緊急の課題に

 そんななか、問題も起きています。それは、「急激な回復に雇用が追いついていない」ことです。これには大きな理由が2つあると考えています。1つ目はコロナによって観光業界を離れた人材がこの2年間で他業界に流れ、有能な人材が旅行業界にカムバックしない。これは今後日本でも起こり得る問題かもしれません。2つ目はコロナの経済的打撃を受け自国民の雇用を優先する政府が、外国人向けの就労ビザの発給基準を上げ、外国人の雇用を難しくしている。これは観光業界だけに限った問題ではないのですが、特にサービス業(飲食やホテル等)は外国人の雇用率が高い為、雇用主を悩ませています。つい最近では、チャンギ空港の運営会社であるChangi Airport Groupが合計6600ポジションの採用活動をしていることが現地メディアで話題になりました。

 またシンガポール人の出国者数も鰻登りで、5月の連休中にはバンコク行きのフライトがシンガポール人で埋め尽くされたというニュースが出回りました。小さな国シンガポールが2年弱の鎖国を経て遂に回復途上のフェーズに入りました。

日本はコロナ後行きたい国No. 1

 さてここからちょっと話題を変えて、「シンガポール人が訪日旅行に求めるもの」をテーマに語ってみたいと思います。

 第一に考えられるのは気候です。シンガポール人は休暇を計画する際、必ず春・秋の涼しい時期や冬を選びます。「休暇なのに、わざわざなぜ暑いところに行かなければいけないんだ」というのがシンガポール人の考え方です。常夏の地で生まれ育ったシンガポール人観光客を夏に日本で見かけることはほぼないでしょう。東南アジア諸国に行くことも多いシンガポール人ですが、感覚的には日本人が国内旅行に行くようなものなので、ASEAN地域外に属する日本への旅行は本格的な海外旅行と言っても過言でもありません。四季の中で暮らす日本人には少し判りづらいかもしれませんが、せっかくお金と時間を費やして行く海外旅行なら、自国よりも涼しい気候を楽しみたいというのがシンガポール人特有の感覚です。

 次に、シンガポール人は日本食を堪能することも、気候と同じぐらい重要な目的と位置付けています。涼しい気候のなかで質の高い日本食を食べ歩きするのは最高のアクティビティかもしれません。シンガポールでは和食レストランや居酒屋は大人気ですが、とにかく値段が高いのが問題です。本格的なシェフおまかせ和食コースのディナーは、1人当たり200SGDから300 SGD(約2万円から3万円)はします。日本で同じクオリティの食事をすると恐らく数千円から1万円以下で楽しめるので、圧倒的に安く、接客サービスも良いのでコスパ抜群です。尚且つそんなレストランが日本中どこにでもあって予約しなくても入れるお店も多く、シンガポール人にとってはフード天国です。現在は急激な円安が進行していますので、個人旅行の訪日旅行が解禁されれば、シンガポール人が日本食を求めて日本にやってくることでしょう。

シンガポールの高級寿司レストランの刺身盛り。コロナによるリベンジ消費で連日大盛況で、予約も取りづらいレストランも多いです

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