九州最西端の島から世界に届くマーケティングを-CHAPTER WHITE 代表ホワイト美佳氏

  • 2022年7月15日

デスティネーションマーケティングのあり方とは
働き方の多様性・柔軟性を体現したい

-CHAPTER WHITEには何を期待してほしいと考えていますか。

ホワイト 例えば、インバウンド誘客したいと考えているエリアがあったとして、トレードショーなどに参加して活動している自負はあったとしても、英語のパンフレットを開いてみたら小さく名前が載っているだけで、自分たちが思うほどに認知されていないというケースもあります。だからこそ、その現実を受け入れたうえで、正しいネットワークを駆使した、本当の意味でその地域の認知度を向上させる取り組みを進められるということを期待してほしいです。

 当社では、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、台湾において、各地で最もデスティネーションマーケティングに特化した実績を持つマーケティング会社と組んでいます。日本では旅行会社や広告代理店と仕事をすれば認知度が広がると思っている方が多くいますが、どんな商品でも、影響力のある媒体に載せようとすると、そのキーマンにリーチできるかどうかが大切になります。そうしなければ本当の意味で情報は伝わっていきません。広告代理店を経由すると、どうしても純粋な広告になってしまいます。各国に合ったマーケティング施策をカスタマイズして最大の効果を生み出すための交渉術を心得ているのが当社の特徴であり、得意分野です。

 PRの世界は、属人的ですが「その人への信頼」が重要視される側面もあります。日本の予算は世界に比べて決して高くはないのですが、私という人間が各案件とそのポテンシャルを紹介することで仕事を受けてもらっています。そのような実績を見たうえで、「ホワイト美佳だから」と依頼をいただけるようになると嬉しいですね。

-五島への移住を決断した理由は。

ホワイト 直感です。きっかけは、せとうちDMOの仕事でナショナルジオグラフィックフランスの方々と一緒にアイランドホッピングの旅をしたことでした。兵庫の坊瀬島という、人口より船の方が多いような島々を巡り、夜にカラオケ店に行ったら地元の奥さんたちがすごく楽しそうに歌っていたのがとても新鮮でした。また、独自の言語や文化など、古くから人や物が行き来していた土台があり、島は日本の文化の究極の姿を現していると感じました。

 実際に移り住んでみても、とても楽しいです。都会では近所付き合いは一切なかったのですが、今は町内会にも入り、コミュニティに住むということを意識しています。現在、TXJのシステムを使ってプロダクトアウトを体現したいと思い、来春を目途に古民家宿の運営を計画しているのですが、そこでもコミュニティとの付き合いを大切にしています。地元の事業者から仕入れることはもちろん、売上金を地域の整備に還元し、そのエリアをより良くしていく動きは重要だと思っています。

-仕事をするうえで大切にしていることは何でしょうか。

ホワイト 人です。誰と働くか、誰のために働くか、その先にどんな人がいるのかを大切にしています。また、島に移住するとスローライフを送っていると思われがちですが、実際はバリバリ仕事をしています。仕事は人生の大半を占めることだからこそ、自分のミッションに忠実に生きたいと思っていますし、それと一歩家の外に出たらパラダイスという環境に住むことは両立できます。

 インバウンドを推進しつつも、少子化で海外からの働き手を増やさなければならない側面もあるのが日本の実情です。柔軟性や多様性のある生き方、そしてその豊かさを、私のようなアイデンティティを持つ人間が体現することも、日本の観光産業への1つの貢献になるのではないかと思っています。

-ありがとうございました。