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九州最西端の島から世界に届くマーケティングを-CHAPTER WHITE 代表ホワイト美佳氏

  • 2022年7月15日

デスティネーションマーケティングのあり方とは
働き方の多様性・柔軟性を体現したい

 温暖な気候と豊かな自然、そして暮らしやすさから、移住先としても人気の五島列島・福江島。インバウンド誘致のPRを行うCHAPTER WHITEを立ち上げ、九州の最西端から世界に向けて日本というデスティネーションを力強くプロモーションするホワイト美佳氏も、島に魅せられた1人だ。Instagramのフォロワーは1万人を超え、そのライフスタイルも注目されるホワイト氏は、「本当のデスティネーションマーケティングは広告を載せることではない」という。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

ホワイト美佳氏

-まずご自身のご紹介をお願いいたします。

ホワイト美佳氏氏(以下敬称略) アメリカ人の父と日本人の母のもと、岐阜県で生まれ育ちました。高校からアメリカの全寮制の学校へ入り、大学卒業までアメリカで学びました。現地で就職も決まっていたのですが、アメリカで過ごすうちに自分は日本人なんだという実感が強くなり、日本で働くべく帰国。新卒として入ったのはファッション業界でした。Theoryやマイケル・コースで数年間、品質管理から在庫管理、バイイングまで幅広い業務を担いましたが、昔から好きだった旅の仕事をしたいと思い、海外政府観光局の日本事務所代行業務を行っているアビアレップス社に転職しました。ブランドUSAをはじめ、マリオット・インターナショナル、マンダリン オリエンタル ホテル グループなどのPRを5年ほど担当しました。

-インバウンドマーケティングへの転身のきっかけは。

ホワイト 世論で「欧米のインバウンドを推進すべきだ」という声が大きくなってきた頃には、アメリカのプロモーションの仕事をしていたのですが、アメリカだけではなく日本にも貢献したいという思いが強くありました。ですが、まだ日本に観光地マーケティングのフィロソフィーがなかった時代で、日本を海外にプロモーションするプロフェッショナルの会社が見つからず、自分で起業することにしました。それが現在6期目となるCHAPTER WHITEで、地域の魅力を海外に発信するインバウンドのデスティネーションマーケティングを専門として、主に県や市町村、DMOをクライアントとしています。また、日本版DMOのパイオニアであるIntheoryの村木智裕氏と合弁で立ち上げた、観光エリアのDXを行うためのシステムを提供するTourism Exchange Japan(TXJ)の共同代表も務めています。

-村木氏とはどのような経緯でビジネスパートナーになったのですか。

ホワイト インバウンドの職能セミナーに参加していた際、瀬戸内の方に、「瀬戸内で唯一マーケティングがわかっている人がいるので会ってほしい」とご紹介いただいたのがきっかけです。当時村木さんは広島県の職員としてせとうちDMOに出向されていました。オフィスを訪問したところ、「欧米へマーケティングをしたい、参考にしたいのはブランドUSAの戦略」とのお話で、「それをやっていたの、私です!」という出会いでした。

 その頃はインバウンド集客=広告出稿という方法しか浸透していなかったのですが、広告コストをかけ続けるにも限界があり、せとうちDMOとしてもリレーションベースでの活動を模索していたところでした。私も起業にあたりアメリカやイギリスに渡ってPRのスペシャリストとのネットワークを広げていたこともあり、村木さんが独立してIntheoryを立ち上げた後、一緒にビジネスを始めることになりました。

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