五輪や羽田枠拡大で飛躍、出国2000万人達成後は-年頭所感(2)
楽天執行役員 コマースカンパニー ヴァイスプレジデント トラベル事業事業長 高野芳行氏(高ははしご高)
昨年も楽天トラベルは堅調な成長を遂げることができ、予約数は過去最大規模へと成長した。宿泊施設やパートナー企業との地道な旅行商品開発に加えて、楽天グループのエコシステムの活用や、オンライン旅行予約の浸透、国内最大級のオンライン旅行サービスとして積み上げてきた信頼と実績が大きく寄与した結果と考えている。
2006年に開始したダイナミックパッケージの「楽パック」は、累計利用者数が1000万人に到達した。「楽天スーパーポイント」と各航空会社のマイルの両方を貯められることや、年中無休で受けられるカスタマーサポートなどの利便性が支持され、ビジネスからレジャーまで幅広くご利用いただいている。今年は提携先の航空会社のパッケージ商品に新運賃が導入される予定だが、「楽パック」のお客様にはこれを機に、今まで以上に最適な価格を提示し、新たなビジネス機会の創出をめざす。
世界の旅行市場は今年も継続的な拡大が見込まれ、日本でも訪日外国人旅行者や海外旅行者のさらなる増加が期待されているが、足元の需要の取り込みは勿論のこと、来年以降に向けた持続的な成長への基盤作りにもしっかりと取り組む必要がある。今後も楽天トラベルならではの付加価値の創出に引き続き尽力し、検索・予約から旅行後のサポートまでを含めた総合的な旅行体験の向上、データやメンバーシップの活用を通じたロイヤリティの強化、登録宿泊施設や宿泊プランの品揃えの拡充などの取り組みを通じて、中長期的なブランド力の向上につなげる。
近年相次いでいる自然災害は、旅行産業にも大きな影響を与えている。オンラインならではの柔軟性とスピードを活かし、被害を受けた地域や宿泊施設が1日も早く回復するための支援にも、引き続き注力していきたい。
ANAホールディングス代表取締役社長 片野坂真哉氏
2020年は「人」の年と宣言する。航空ビジネスにおいては人のパワーは成長の源泉となるので、人の数・状態・質、そして若者の登用にこだわっていきたい。AIやロボットが人に取って代わる時代と言われており、我々もイノベーションによってお客様サービスを向上させる取り組みなどに着手しているが、コアとなる分野では当面、人の力が欠かせない。だからこそ人の数にはこだわり、育成を進めながら効率性を追求する必要がある。
今年は何といっても東京オリンピック・パラリンピック大会が開催される。ANAグループは5年前に公式エアラインパートナーに名乗りを上げて以来、機運の醸成に向けた取り組みを進めてきた。搭乗ゲートの幅を広げたり、音声読み上げなどに対応したウェブサイトを構築するなど、ユニバーサルなサービスで世界のお客様を迎えるための環境整備にも投資している。
また、今年は3月中旬からの成田/ウラジオストク線に続き、夏ダイヤからは羽田の発着枠拡大に伴い、初めて乗り入れる5都市への路線を含む12路線を新規開設する。政府目標である年間訪日外国人旅行者数4000万人の達成については、韓国人の激減などもあり厳しい予測もされているが、最後まで諦めず、ANAとPeachの両ブランドのネットワークの力で貢献していきたい。
一方で今年は、ANAグループにとって正念場の年ともなる。ここ数年好調だった国際線事業は、米中貿易摩擦の影響などを受けて需要に陰りが見られる。取り巻く環境の変化を踏まえて、現在は22年度までの中期経営戦略のローリング版を策定しているが、どこまで翼を広げることができるか。今年も安全を第一に、グループのチームワークで、東京2020大会の年に取り組む。
日本航空代表取締役社長 赤坂祐二氏
今年は東京2020オリンピック・パラリンピック大会が開催され、海外から多数のお客様が東京を訪れる。日本の魅力をお伝えするとともに、大会の成功に向けて全力で貢献し、盛り上げていきたい。また、首都圏空港の国際線を大幅に拡充し、ZIPAIR Tokyoの運航も開始する。政府がめざす訪日外国人旅行者数4000万人の達成に向けて、JALグループの幅広いネットワークを活用することで多様なニーズにお応えし、地域の活性化にも貢献したい。
昨年は9月にA350-900型機を国内線に導入し、お客様からはご好評をいただいている。皆さまには、より快適な空の旅をお楽しみいただけるよう、今後も新たな商品とサービスの導入にチャレンジする。
今年は我々にとって大きな変化の年で、4月には新たな制服を導入する。心を1つにし、1便1便の安全運航を第一に、お客様の期待を超える価値を提供できるよう、グループ全社員が一丸となって取り組む。