海外旅行の安心・安全は関係者の「現場力」で-EXPOから

  • 2017年11月15日

海旅復活に向けさまざまな立場から意見交換
「国際霊柩送還会社」の取り組みも紹介

遺族には心に寄り添う「グリーフケア」を
保険の加入推奨は「家族や親戚と思って」

木村氏  なお、この日のセミナーではパネルディスッカッションに先立ち、エアハース・インターナショナル代表取締役社長の木村利恵氏が登壇し、「国際霊柩業務の現場から有事対応の品質を考える」と題した講演を実施。羽田空港の第1国際貨物ビル内に本社を置き、海外で亡くなった日本人旅行者や日本国内で亡くなった外国人旅行者の遺体の送還などに携わっている同社の取り組みについて説明した。

 木村氏は冒頭で、国際霊柩専門会社は海外の送還業者や在外公館、アシスタンス会社などとのネットワークを有し、葬儀社とは全く異なる業務を遂行する、旅行会社やランドオペレーターをサポートする存在であることを説明。日本への遺体の送還にあたっては「最終目的地である安置場所で、ご家族が故人と対面する時が最も重要」と述べ、それまでの間には専門技術者による遺体処置や、国内企画棺による再納棺などさまざまな業務が必要となることを示した。

 メンタルの面でのサービスについては、遺族の心に寄り添う「グリーフケア」の重要性を説明。「親を亡くすと過去を無くし、配偶者を亡くすと現在を無くし、子供を亡くすと未来を無くす」と述べ、関係者は家族と死別した遺族の心理に対して思いやりを持ち、想像力を働かせることが大切であることを強調した。

權田氏  セミナーの最後にはJATA海外旅行推進部部長の權田昌一氏が挨拶に立ち、旅行会社が率先して、旅行者に保険加入を奨めることの重要性を改めて強調。セミナーの参加者には「販売するお客様を自分の家族や親戚だと思って奨めてほしい」と語りかけるとともに、「それらはOTAにはできないこと。安心と安全を支える旅行会社の力を見せていこう」と呼びかけた。