欧米豪からの誘客強化で訪日消費8兆円へ-ツーリズムEXPO

広域連携などで成功へ
カギは日本らしさ、地域らしさ

地方誘客のカギは地元による魅力の再発見

州白馬八方温泉しろうま荘の丸山氏  市場のニーズの把握とともに課題とされるのが、ゴールデンルート以外の地方への誘客だ。そのために必要なこととして、マンテイ氏は「ブランディング」と即答。「オンラインによるコンテンツ発信が重要。オンラインでの情報は拡散する力がある。魅力が伝われば、その後は旅行会社と共同でオフライン展開をする」と持論を展開した。

 高山市の丸山氏は「地域の人たちが、自分たちの地域の魅力に気づくことが大切」と語り、しろうま荘の丸山氏は「都会にはない独自性を地域ぐるみで再発見し、ターゲットを設定して発信していく」ことの重要性を指摘した。

 高山市、しろうま荘とも、欧米豪旅行者の比率が全体の30%を超えている。高山市の丸山氏は、トリップアドバイザーの外国人旅行者人気レストランで同市の中華料理店「平安楽」が1位になったことを挙げ、「民間事業者のホスピタリティが大きな要因」と分析。加えて、「日本のどこにでもある、ありのまま生活に触れる機会を提供することが大切。つまり、どの地域でもポテンシャルはある」と述べた。

 しろうま荘の丸山氏は、在日外国人との連携を挙げ、「在日豪人とのネットワークができれば、彼らが現地エージェント的な役割を果たしてくれる」と、口コミによる影響の大きさを指摘した。一方で、冬に需要が集中し、夏の需要創出に課題があることから、トレッキング、ハイキング、スキー場でのマウンテンバイクなどのプロモーションを強化していることも付け加えた。


「日本人らしさ」と「広域連携」が重要

 モデレーターの蜷川氏は最後に、「訪日外国人旅行消費額8兆円の達成のためには、滞在日数を増やしていく必要がある」と語り、そのためのアドバイスを各氏に求めた。これに対しマンテイ氏は、ニーズに細かく対応することが重要と説明するとともに、「グローバル化が観光の敵になってしまうことが世界のどこでも起きている。マーケティングをやりすぎて、同一のデスティネーションになってしまうことは避けるべき。日本人らしくすることが一番」と助言した。

 高山市の丸山氏は、「私たちがヨーロッパに行く場合と同じように、欧米豪の旅行者も広域を移動する」ことから、改めて市町村県を超えた連携が必要と訴えた。また、「欧米豪の旅行者は、満足度が高ければ、値段が高いものでもそこに価値を見出す」と消費傾向を説明した。

 しろうま荘の丸山氏は、「まずは全体の利益を考えること。それが個々の利益になる」と話し、官民一体での取り組みを求めた。また、高山市の丸山氏と同様に、欧米豪旅行者の旅行スタイルから、広域連携の必要性に言及。旅行会社に対して「地域が魅力を再発見できるようにサポートして欲しい」と呼びかけた。


取材:山田友樹