トップインタビュー:アゴーラ・ホスピタリティーズ代表取締役社長の浅生氏

多種多様なホテルコレクションで季節波動を平準化
コレクションを活用した訪日ルートの形成も

-急増する訪日外国人旅行者に対する貴社の取り組みは

浅生 日本全体では、訪日外国人の宿泊比率は全体の宿泊の9.5%程度と言われている。当社の場合、14年はグループ全体で45%となっており、高い割合となっている。宿泊業界が国内の需要だけではやっていけなくなっているのは明々白々だろう。我々は常に国内、海外の区別をあまりせず、日本を含むグローバルを常に見ている。

 海外顧客を取り込む方策として、我々は香港を中心とした「ドーセット」、台湾の「台北イン」、欧米の「ダイヤモンドリゾート」の3つのホテルグループとアライアンスを結んでいる。彼らの持っている顧客層に働きかけるとともに、共同でのマーケティングやピーアールをおこなっている。

 また、お客様の多言語化にともない、外国語が話せるスタッフを積極的に採用している。今回新卒採用で40名採用したが、このうち8人が外国語話者だ。現在英語、韓国語、中国語の3言語で対応している。


-今後どのようにコレクションを拡大されていく予定ですか

浅生 今後の展開としては、「美しい日本を集めたホテルアライアンス」というビジョンの元、日本を全国的に網羅していきたい。例えば、現在北海道で、宿泊施設を慎重に探しているところだ。季節波動の平準化で一番の課題は、コレクションの全宿泊施設において、ピークは夏、閑散期は1月となっていること。1月を埋めるためには、冬にピークが来るスキーリゾートか、特別な冬のレジャーがあるところが必要だ。このモデルを完成させるところのキーが北海道だと考えている。また、地方都市に新しくホテルを建てることや、宿泊特化型の新しいブランドを設定することも検討している。

 「アゴーラ・ホテルアライアンス」はお客さまにとって、宿泊施設を楽しく選べるコレクションにしたいと考えている。お客様は毎日ラグジュアリーなホテルでフランス料理を食べるわけではない。アライアンスのホテル全てが高級カテゴリでなくて良いと思っている。例えば外国人旅行者が日本を訪れた際、アライアンスの宿泊施設を転々と歩くだけで色々な日本を体験できる、そんなルートを作ることができたら本望だ。

 実際、旅行会社が訪日ツアーでアライアンスのホテルを周るルートを作ってくれた事例もある。「アゴーラ・プレイス浅草」「旧軽井沢ホテル」「上諏訪温泉油屋旅館」を4泊するツアーで、都市型ホテル、リゾート、旅館をバランスよく組み合わせていた。


-販路について考えをお聞かせ下さい

浅生 我々は直販に加え、旅行会社やOTA経由での販売もおこなっている。比率を見ると、直販と旅行会社のウェブサイト、OTA経由の販売が多く、旅行会社のリアル店舗は少ない。リゾートや旅館の場合は直販が6割から7割と多い。一方、都市型ホテルは半分が旅行会社のウェブサイト経由やOTA経由で、直販は2割。残りは旅行会社のリアル店舗などだ。

 現在、お客様の利用の仕方、情報の収集方法は多様化しているため、引き続き多様なチャネルを活用して販売していきたい。特に新しい顧客層の取り込みでは、まだまだ旅行会社にお力を借りたい。旅行会社とOTAは、我々と比べて持っているパイが大きいので、直接我々が取りに行くよりも活用させていただきたいチャネルと考えている。


-ありがとうございました