トップインタビュー:プライスライングループ代表取締役社長ダレン・ヒューストン氏

-今後増加が見込まれる日本のインバウンドにどう取り組んでいきますか

ヒューストン インバウンド需要が高まる中、日本は外国人にとって旅行しやすい場所になるため、色々と変化していかなければならないだろう。例えば宿泊施設。多くの日本のホテルは「大体このくらいの割合を外国人で埋める」と決めて外国人の誘致をはかるが、需要はそれをはるかに上回っている。また、日本のホテルの多くは日本人の宿泊料金が外国人よりも安いケースがあるが、インターネットではすぐに顧客に分かってしまう。こうした状況を変えていかなければならない。

 また、旅館は非常に複雑な宿泊商品であり、簡便化していくことがとても重要だと思う。旅館は日本の旅行業界の中では特殊な部分と捉えており、外国人がもっと理解できるようにしていくべきではないか。旅行者が旅館を訪れるとしたら、彼らには選択肢として80の異なるプランがある。部屋のみや部屋と食事のセット、食事でも朝食のみの場合、宿泊せずに温泉のみや食事と温泉のみなど、大変複雑でメニューも多く、わかりにくい。

 我々が言いたいのは、旅館にはホテルのようになってほしいということではない。旅館の持っているさまざまな商品をいかに上手に展開し、旅行者に理解し、経験してもらえるかが重要だ。例えば、夜10時に到着するのでは、旅館は十分に体験できない。その旅館を体験していただけるような説明をしなければならないだろう。

 旅館での経験に対する需要は大きく、我々は楽観的に見ている。旅館側と協力して商品化するとともに、インターネット経由で購入する人に対して、説明などのケアをおこなっていくことが大切だと思っている。

 Booking.comでは日本の宿泊施設は3月時点で6660施設を扱っているが、この内1226軒が旅館。あと5000軒から6000軒はウェブサイトに掲載できる可能性があると見ている。今後取り扱いを増やしていくためには、まず商品を適切に揃えることが大切だ。最大の選択肢をできる限り安く、そして最もシンプルな経験を提供できるよう、強化していきたい。

 宿泊施設の取り扱いに関しては、我々は世界最大級のプレイヤーになった。我々のサイトは全世界の人々が利用しているので、海外のお客様に対するマーケティングが難しいと考えている施設にはぜひ利用してもらいたい。このほど出資した中国のCtrip.comがあるので、中国のインバウンドや韓国、台湾、タイも増加しており、東南アジアに強いAgoda.comを加えればさらにリーチが広がるだろう。

 日本の楽天トラベルやじゃらんnetのメインは国内であり、そうしたインバウンドの強みはあまり無いように思う。また、エクスペディアは米国やいくつかの国・地域のインバウンドには強いが、コミッションが少し高い。我々のポジショニングは優れている。コミッションも通常レベルでは、日本では12%と低く、インバウンドの顧客に対し、非常に沢山のベースを持っている。