訪日2000万人、オールジャパンで取組を-ガイドの質向上も
地方への誘客強化、地方同士の連携も
ガイドなどの質向上が課題、新免税制度に期待
プロモーションでファン獲得へ
地域ごとの広域連携を
また、シンポジウムでは岐阜県の古田氏が、岐阜県での訪日客の受け入れに関する取り組みや課題を語った。岐阜県では訪日市場の選択と集中をおこない、アジア、特にシンガポール、マレーシア、タイで国ごとの戦略のもと誘致活動を展開。知事のトップセールスや継続的な旅行博などイベントへの出展、現地飲食店での食のフェアなどで「岐阜のファンづくり」に取り組んでいる。
今後は岐阜県のみならず、各地方との連携を深めていく考え。古田氏は「地方の固有文化、食などを互いに補完しあう」ことが地方の役割と指摘。地域間の競争はあるが、広域連携で共に訪日客を受け入れていくことが重要であるといい、例えば山形などの東北と岐阜を組み合わせたツアーの造成など、他県・地域と協力して新しいタイプのツーリズムを提供していく考えを述べた。そのためには「JR、レンタカーパスや、国内が自由に移動できるエアパスがあれば」とし、交通機関と協力していく姿勢も示した。
また、同氏は訪日外客2000万人について、東京で1000万人、東京以外の地方で1000万人を分担すると仮定。その上で「地方の1000万人にどんな日本を、地方を体験してもらう旅を提供するのか、どういう経験をして人が帰るのかをイメージする必要がある」とした。さらに、地方46道府県で1000万人を割ると、1道府県あたり25万人になると述べ、「そういう現状を認識して数字を積み上げていく」ことで、現実感をもち、具体的な対策を練っていく必要性を説いた。
免税制度改正に期待、まずは免税店増加から
訪日客向け商品造成も
シンポジウムでは10月1日の外国人外客免税制度の改正についても議論がおこなわれた。免税制度の改正により、食品や飲料などの消耗品も免税対象に含まれるようになったことについて、ジャパンインバウンドソリューションズの中村氏は「画期的な規制緩和」と評価。地元の銘菓や農林水産加工品などが対象になることで「一番受益できる可能性のあるのは大都市圏というよりも地方」とし、地方での消費拡大に期待を示した。
ただし、中村氏は免税店数の少なさをが課題と指摘。4月現在、全国に小売店は120万件あるが、免税店は5777軒。「(現在は)6000軒を超えたと思うが圧倒的に足りない」とし、1、2軒しかない都道府県もあることから、地方の免税店数の増加が重要と述べた。
また、同氏は「もっと大切なことは、1名あたりの訪日客のGDPを上げること」であると強調。「何人泊まったかも大切だが、むしろショッピングやグルメ、体験などに、訪日外国人の皆さんがお財布を開いてお金を使うのが重要」と語った。そのためには訪日客向けのPOPや、商品開発、デザインなどが重要との考え。国内旅行者向けの土産物をそのまま転用するのではなく、訪日客向けのお土産物の開発が必要になるのではと話した。