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トップインタビュー:エミレーツ航空日本支社長のエンゲルマン氏

-日本市場の現状をお教えください

エンゲルマン 私が就任した2010年には東京に乗り入れておらず、関空線も関西市場だけでは席を埋めることができず、中部と三角運航していた。しかしその後、関空線は関西の需要だけで路線を維持できるようになり、成田にも就航した。EKは70%以下で路線を維持することは認められず、成田、関空ともこの数値を超えている。夏は80%以上だ。

 現在の日本路線は旅客の約85%が日本発。ビジネス、レジャーともに日本市場での売上がほとんどといえる。東日本大震災の前は25%から30%程度がインバウンドであったが、現在は15%から20%に減少している。

 なお、現在の円安傾向は日本経済には好ましいものの、需要減は懸念している。とはいえ、我々としては需要の動向に合わせて供給量を調整していくだけだ。例えば円安によってレジャー需要が打撃を受けたとしても、輸出の増加などによって業務渡航が活性化する可能性はある。我々の上級クラスは他社の追随を許さないレベルであり、シェアの拡大をめざせる。


-羽田への就航を決められた理由をお聞かせください

エンゲルマン 羽田空港の旅客数が非常に多いことに加え、都心部に近い立地も魅力的。業務渡航需要が大きいと考えている。また、将来的にさらなる発着枠の増加も予定されている中で、実績を作っていく意味もある。

 機材は、貨物も多いと見ているためB777型機を投入する。航空協議の合意事項としてA380型機の乗り入れを認めないというような条項は入っていないが、空港側の施設面での制約はある。ただ、制約がなくても我々としては深夜便であることも考慮し、需要と供給のバランスからB777型機が適していると考えている。

 また、我々は潜在的なすべての顧客に何かしらの選択肢を提供していくことをめざしており、羽田への就航もこの一環だ。羽田線も日本航空(JL)とコードシェアし、地方の潜在顧客にもアプローチする。

 なお、成田線についても維持をする。我々は“成長あるのみ、後退はなし”だ。


-そうした積極的な展開が可能な理由をお聞かせください。産油国であり航空燃油が安いのではないかというような憶測もあります

エンゲルマン 燃油も他社と同じ価格を支払っている。確かにアブダビで原油が産出するが、航空燃油になるには複数の工程を経る必要があり、EKも燃油として市場に出てくるものを他社と同じ額で購入している。燃油価格の上下動に応じて我々の利益も変化する。

 事業展開を可能とする要因は、一つにはEKの卓越したサービスとプロダクトであり、一つにはドバイというハブ空港の存在だろう。EKが24年連続で黒字を計上しており、投資を続けられることも大きい。また、ドバイはハブとして多くの人々の予想を大きく上回る成長を遂げている。なお、好調な業績の背景には労働コストの安さもあるだろう。