現地レポート:ダーウィン&カカドゥ、豪州の新デスティネーション誕生
生態系豊かな自然と先住民の史跡が彩る
世界複合遺産のカカドゥ国立公園と州都ダーウィン
日本との関わり深いダーウィン
MICEや教育旅行の可能性も
基点となるダーウィンは、ゲートウェイの役割だけでなく観光地としての魅力も十分に持つ。観光施設では、ダーウィンのアイコンともいえるワニをテーマしたアトラクション「クロコザウルス・コーブ」や、周辺の生態系やアボリジニアートなどを展示する「ノーザンテリトリー美術博物館」など。レストランやホテルが建つウォーターフロントやカランベイマリーナなどの新エリアも開発されており、ファミリーからシニアまで多様な客層に対応できる素材がそろう。
また、日本との関わりも注目したいポイント。例えば第2次世界大戦中はオーストラリアで唯一、日本軍の空爆を受けた町で、今年2月には「戦争資料館」がオープンした。さらに現在、日本企業による天然ガス開発が行なわれており、エネルギー関係の業務渡航者が増加。これにあわせ、「クラウンプラザ・ダーウィン」では朝食で味噌汁とご飯を提供。「ホリデイイン・エスプラネード・ダーウィン」では客室にスリッパとお茶を置くなど、日本市場への意識が高まっている。
このほか、カジノやゴルフコースのある「スカイシティ・ダーウィン」もある。ダーウィンの観光素材や受入施設を考慮すると、パッケージツアーはもちろん、教育旅行やMICEの可能性も十分にあるだろう。周辺にはカカドゥ以外にもリッチフィールド国立公園やキャサリン渓谷など特徴が異なる観光素材があり、ノーザンテリトリー政府観光局トラベルトレードマーケティングディレクターの中村滋氏は、「これらを組み合わせれば多様な商品造成ができる」とアピール。エアーズロックとの両輪でプロモーションしていく考えだ。
JQの路線開設を機に、AATキングスでは今年3月、日本人スタッフ1名をダーウィンに置いた。「ノーザンテリトリーで日本語ツアーを催行するのは弊社だけ。パイオニアの精神でやっていきたい」(セールスマネジャーの近藤貴博氏)と、現地側の取り組みも始まっている。新デスティネーションは最初から万全な状態にあるわけではないが、チャンスを生かすのは旅行会社次第だ。先々の送客を見据え、大切に作り上げていきたい。
取材:本誌 山田紀子