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旅行業公取協、募集型企画旅行の表示規約変更を承認

  • 2022年6月27日

 旅行業公正取引協議会(公取協)は6月23日、都内で第38回通常総会を開催した。コロナ禍により第36回、第37回と書面による総会が続いたが、今回は3年ぶりのリアル対面による総会となった。会長の小谷野悦光氏は冒頭の挨拶で、政府の観光需要喚起策「全国旅行支援」や海外旅行の追い風となる水際対策の緩和などコロナ禍後へ向けて進み出した現状を紹介したうえで「本格的な旅行再開へ向けてもう一度しっかりと規約遵守を徹底し、夏以降の広告増大が予想されるなかで気を引き締めてもう一度原点に返り、一般消費者の自主的で合理的な旅行商品の選択ができるようルールに基づいた適切な表示に努めてほしい」と呼びかけた。

 公取協によれば相談業務における21年度の相談件数は旅行会社や自治体、一般消費者等から337件が寄せられた。例年は600件ほどの相談があるといい、20年度に引き続きコロナ禍の影響で広告自体が減少したことが相談件数の減少に影響していると思われる。相談内容別では景品規約が86件、表示規約が220件、その他法令が31件だった。また21年度における公正競争規約違反被疑事案の発生はゼロ件で、違反には該当しないものの不適切な表示と判断し公取協が指導した事案は4件だったと報告された。

 コロナ禍による販売活動の鈍化の影響で21年度は相談件数や規約違反事案が減少したわけだが、小谷野会長の挨拶は、旅行需要の回復と販売活動の活発化に伴い事案も増加することのないようにくぎを刺し、会員各社に表示規約の順守を促すものとなった。

公取協会長の小谷野悦光氏

 総会では4つの議案について原案通り承認されたが、そのなかには22年度事業計画の柱の1つでもある「募集型企画旅行の表示に関する公正競争規約(表示規約)」の一部変更についても含まれる。公取協では21年度を通じて規約運用部会により必要に応じた規約の見直しを進め、今年2月に最終案を取りまとめていた。

 表示規約の一部変更は、航空会社による新IIT運賃(変動型運賃)の登場など旅行業界を取り巻く環境の変化に対応するためのもので、従来の募集広告に代わる告知広告において旅行代金が確定していない目安額の表示を妨げない内容等が追加された。また、すでに旅行会社はJATAおよびANTA作成の「旅行広告・取引条件説明書ガイドライン」に則った広告表示を行っており、その整合性も図った。たとえば日程中の土産物店等に関する事項についての表示や、海外募集型企画旅行における国内線と国際線の乗り継ぎに関わる国内の空港間の交通費についての表示、海外募集型企画旅行における申込金の支払い額と旅行代金残金の支払い時期については、いずれも同ガイドラインに準拠するとしている。

 さらに通訳案内士法や景品表示法など関連法令との整合性も図り、たとえば通訳案内士法の改正に合わせ、「全国通訳案内士又は地域通訳案内士の同行の有無」も同ガイドラインに準拠して表示することを求めている。

 公取協では表示規約が総会で承認されたことを受けて、これら変更を消費者庁および公正取引委員会に申請し、認可を受けた後に会員への周知を図る。そのため今回の変更内容を反映したテキストを作成し、近秋以降には規約説明会を開催する予定だ。

 22年3月末現在の会員数は、コロナ禍の影響で21年度中に29社が退会したため、7社の新規加入があったものの前年度末から22社減少し288社となった。最近5年間の会員数の推移は17年度329社、18年度334社、19年度329社、20年度310社、21年度288社で、19年度以降に減少傾向が強まっている。

 なお総会では、辞任した菊間潤吾元会長や昨年亡くなった坂巻伸昭前元会長など4名の退任理事の役員補充選任も承認され、理事として石川邦大氏(T-LIFEホールディングス代表取締役社長)、百木田康二氏(東武トップツアーズ代表取締役社長執行役員)、西尾忠男氏(ジャルパック代表取締役会長)、若林慶太郎氏(ANA X取締役)が理事に加わった。