ドイツ、旅費増見据え「付加価値の高い旅行」訴求、都市・文化、サステイナビリティなどテーマに
ドイツ観光局は5月18日、都内でプレス発表会をオンラインとのハイブリット形式で開催した。冒頭、ドイツ観光局アジア地区統括局長兼日本支局長の西山晃氏は、ドイツはワクチンを2回接種した証明書があれば隔離なしで入国できること、日本の水際対策も緩和しつつあることに触れ「日本人の海外旅行の加速が見込まれる。2年半近くの我慢の時期がようやく終わり、嬉しく思う」と喜びを示した。
一方、今後の懸念材料としてロシアのウクライナ侵攻の影響で、ロシア上空を迂回することから飛行時間や乗継便が増えたこと、燃油費の高騰による航空費の増加をあげた。加えて、優秀な人材の取り合いによる人件費の増加でホテルの宿泊料金が値上がり傾向にあることも説明し、「旅費が上がるのは避けられない。大量訴求で安く行こうというコロナ前のタイプの旅行は、特に欧州などの遠隔地はしばらく難しいだろう」と分析。観光局のとして「多少お金がかかろうと、体験したいから行ってみたいという、付加価値の高い旅行を優先してプロモートしていく方向にはっきりと方針を定めた」と説明した。ただし、将来的な状況改善を見据え、従来から注力しているSNSを使った一般消費者への広範囲なプロモーションは継続する。
発表会では同局広報マネージャーの大畑悟氏が、22年のドイツ観光局のプロモーションについて、「都市&文化」「自然」「サステイナビリティ」の3つのテーマに基づきプロモーションを展開していく旨を説明した。「都市&文化」については昨年より実施中の「German.Local.Culture」キャンペーンを今年の12月まで継続。ドイツの地方の町、村の魅力を食、自然、印象的な景観や伝統工芸などをテーマに、LINEやTwitterなどのSNSで訴求していく。
このほか、エアフルト大聖堂のグランドオペラやドレスデン音楽祭、オーバーアマガウでの「キリスト受難劇」などのドイツ各地でのイベントもアピールしていく。特にキリスト受難劇については、ペストの終結祈願、または終結を祝うために約400年前から開催されていることもあり、PRを強化する。
加えてゲーテ街道やファンタスティック街道なども各メディアやSNSでアピールする。他業種とのコラボレーションも実施する方針で、6月10日にはワインズ・オブ・ジャーマニーと、オンラインイベントを予定。イベントは2部制で、ソムリエと3種類のワインを試飲するほか、ファルツのワイナリーから日本人醸造家によるワインツアーを実施する。
「自然」「サステイナビリティ」については「Embrance German Nature」キャンペーンとして、ザクセンスイスをはじめとした日本でまだ知られていない絶景などを紹介。SNSで反応を見ながらキャンペーンを徐々に拡大していく考えだ。加えて昨年から継続している、サステイナブルな旅行素材などをアピールする「Feel Good」キャンペーンも、大手日刊紙サイトでのコンテンツマーケティングやSNSを活用して展開する。両キャンペーンとも今年の10月まで継続する。
このほか、大畑氏はドイツ観光局が注力する各SNSについて、配信結果やその分析、今後の戦略についても説明。約16万のフォロワー数がいるというTwitterについては、10代から20代の利用が多いことから「未来への投資」と位置づけており、「German.Local.Culture」との親和性も高いという。今後も歴史的な風情を体験できる観光地などをアピールしていく方針だ。
大畑氏はモーゼル川沿いのエルツ城やザクセン州・クロムローのラコツ橋などやや行きにくいスポットに「いいね」が集まっていることから、旅行会社にツアー化を働きかけていく考えを示した。加えて、企業や旅行会社とのタイアップも積極的に展開。地方観光局などと連携した旅行会社のツアーについては、Twitter上での告知もおこなう。
InstagramについてはTwitterとの補完と位置付けて活用。LINEについてはフォロワーの6割が50代以上の女性であることから、桜や城などの定番テーマが人気だといい、今後も情報を訴求していく。