ホテルアメニティの多角化と質の向上で事業を拡大―山陽物産代表 武内英治氏
環境に配慮したバイオマスシリーズ商品も好調
アジアナンバーワンを目指し海外進出にも意欲
ホテルアメニティ市場をリードする山陽物産。ホテル用歯ブラシの製造・供給から始め、現在はカミソリ、ヘアブラシ、スリッパ、シャンプー、ボティーソープ、石鹸など様々な消耗品へ事業を拡大している。ホテルに泊まったことのある人なら誰でも使ったことがあるものばかりだ。コロナ禍の宿泊市場の低迷によって、同社も大きな打撃を受けたが、環境に優しい商品を自社で開発・製造するなど時代の要請にも応えている。アフターコロナを見据えた同社の事業展開とは。同社代表取締役の武内英治氏に聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
武内英治氏(以下敬称略) 山陽物産は、1992年にホテル用歯ブラシの製造を行う山陽刷子の商事部門から独立することで誕生しました。山陽刷子は私の父が創業した会社ですが、歯ブラシ以外のホテルアメニティを扱うことで、歯ブラシもスムーズに売れるのではないかとの発想から、山陽物産を立ち上げました。
歯ブラシの売上は、コロナ前で全売上35億円のおよそ4分の1で約8億円でした。今では他のアメニティが歯ブラシの売上を超えて、山陽物産の事業の柱になっています。
コロナ前の市場シェアは、歯ブラシで18%ほどになります。その他ではカミソリのシェアが高く、日本のホテルの20数%で取り扱っていただいていると思います。売上金額の伸びが一番高いのもカミソリで、30年前の2、3倍に拡大しています。
宿泊者の満足度を高めるために、3枚刃や4枚刃のカミソリを置いているホテルは増えており、特にチェーンホテルではカミソリの質は以前と比べて格段に上がっていると思います。
現在のところ、弊社と取引のあるホテル数は全国で4000軒から5000軒になると思います。
武内 1967年生まれで55歳になります。高校卒業後に父の会社に入社しました。当時は年間の売上が3000万円から4000万円の小さな会社で、社員はおらず、パートが7、8人の家内工場といった感じです。人もおらず、社会的な信頼もなかったため、当初は苦労しました。
それでも、山陽物産を設立してからは27期連続増収で、売上高は35年間でおよそ100倍になりました。途中、リーマンショック、東日本大震災などがありましたが、少しずつ伸びてきたというのが実感です。しかし、コロナ禍では旅行市場の低迷による弊社への打撃も大きく、歯ブラシでは6割から7割減、全体の売上も半分ほどに落ち込みました。
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