豪州、旅行商談会「ATE」が3年ぶり開催、回復へ「スタートは良好」
オーストラリア政府観光局(TA)は5月16日、旅行商談会「Australian Tourism Exchange 2022(ATE22)」をシドニーで開幕した。世界各国の旅行会社やメディアが一堂に会して州・地域の観光局やサプライヤーと商談し、合わせてFAMツアーで各地の魅力を体験する機会を提供するもので、2019年以来3年ぶりの開催となった。
セラー516社に対しバイヤーの旅行会社は世界から538人が参集。また日本からは旅行会社25人とメディア9人が参加している。
オーストラリアは、昨年12月からワクチン接種済みの日本国籍の旅行者について隔離なしでの入国受け入れを再開するなど段階的に入国制限を緩和し、今年2月には対象国を全世界に拡大。さらに4月17日には出発前のPCR検査も不要化し、米国などでは検査の要件が残るなかでコロナ禍での旅行の心理的、金銭的負担を軽くし需要獲得を目指している。
16日の記者会見でTA会長のマイケル・アイゼンバーグ氏は、対面形式でイベントを再開できるようになったことに喜びを示した上で、集まったメディアに対して「オーストラリアが訪れるべき素晴らしい場所であるだけでなく、世界に対して開かれ世界中の旅行者をお迎えする準備が整っていることを伝えてほしい」と呼びかけ。
また、TAマネージングディレクターのフィリパ・ハリソン氏も、回復は一筋縄ではいかない可能性があるとしつつも「スタートはとても良好」と説明。具体的なデータとして、国境開放後10週間だった5月第1週の外国人訪問者数はコロナ前の42%に達していることを紹介した。航空座席も第2四半期で43%まで回復しており、12月には70%となる見込み。
市場別ではシンガポールからの旅行者が最多となっており、4月には2019年比で2倍以上となり5月第1週も49%増と牽引。2位以下は英国、ドイツ、インド、フランス、米国となっており、5月第1週の数値は40%程度の減少にまで戻っている。
さらに、日本を含む重要15市場で実施した消費者意識調査で、オーストラリアへの旅行が安全と思うかを聞いた質問に対して3月は75%が安全と回答するなど消費者の信頼も回復してきているという。
そしてハリソン氏は今後の活動方針についても説明。貯蓄増、自然や野生動物の人気の高まり、サステナビリティの意識向上、予約の間際化などのトレンドに対応していくほか、デジタルノマドの需要獲得にも取り組みたい考え。特にアドベンチャー、ウェルネス、若年層、アグリツーリズム、イベントの5点に可能性を見出し、それらに先住民文化、サステナビリティ、アクセシビリティを組み合わせて活動していく。
ターゲットセグメントはハイイールドな旅行者で、「ハイイールド」は必ずしも高所得者層を意味せず旅行が好きで年に複数回旅行するなど可処分所得を積極的に旅行に投じる層と定義。それに合わせて「プレミアム/ラグジュアリー層」「ワーキングホリデー」「ビジネスイベント」にも力を入れていく方針だ。