【発行人コラム】需要回復の兆しと雇調金延長、中小旅行各社の経営判断は

  • 2022年5月17日

 6月末に期限を迎える雇用調整助成金の特例措置が延長されることが決定したようです。

 もちろん、未だコロナの影響が大きい観光産業にとっては朗報なのですが、需要回復の兆しと相まって、各社、特に中小規模の旅行会社の判断は様々、皆さん悩まれているようです。

A社(海外業務渡航専門)
何時どの程度の規模で受注が来るのか想定できない以上、7月以降も社員にはできる限り休業してもらい、雇調金を頂くしか無い。将来よりも足元を見ざるを得ない。

B社(海外観光主軸)
比較的ブッキングウィンドウが長い予約が多い事も有り、7月以降の休業はこれまでの半分以下にして、取りこぼしの無いようにしたい。

C社(国内・海外双方取扱)
雇調金は6月まで、それ以上の延長は無いと腹をくくり、攻めに転じようと決めていたが、正直悩んでおり、結論を出せていない。

 各社の取扱商品、客層、体力等により判断は分かれるようですが、筆者が直接話しをお聞きした会社の中で、雇調金特例が延長されても、もう社員を休業はさせず、本格的な需要回復に備えると言う会社はありませんでした。

 一方、雇調金がある間は廃業はせず、できる限り雇用も守ろうと思っていたが、これ以上赤字を垂れ流すことは出来ないので、逆に今のタイミングで廃業や規模を縮小した立て直しを検討していると言う会社は有りました。

 収支やキャッシュフローの問題のみならず、特に海外旅行やインバウンドに関してはこの2年余り事実上休業に等しかったわけで、社員の皆さんもリハビリ、助走期間が無いと、急激な受注増には対応出来ないという課題もありそうです。

 因みに当社に関しては、既に毎日就業の事業部(決済関連やトラベルビジョン等、旅行需要と業績が直結しない事業中心)がある一方、7割以上休業の事業部も有り、全体としては3割程度の休業となっています。

 休業が多い事業部に関しては、需要がある程度戻る少し前にフル稼働をはじめたいと思っているものの、そのタイミングを見極めるのが難しいと感じています。

 読者の皆さんの会社の状況を是非、コメント等で教えてください。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、32周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​