ランデヴーアンフランス2022が3年ぶりに開催、ラグビーW杯やオリパラを軸に日本市場の需要喚起へ
「旅」の仕切り直し、旅行会社に対するサポートは全力で実施
日本からは例年50人前後の参加者があるRVEFだが、今回はワクチン接種のタイミングの関係などの事情から、フランス現地法人やメディアも含め3分の1程の11社15人の参加となった。しかしながら、参加した旅行会社からは「消費者が気にするフランスの衛生状況などを直接確認できた」、「現地観光局や旅行会社から最新の情報が得られた」、「現地法人として受け入れに何が必要か、改めて考える機会となった」など、前向きなコメントが数多く聞かれた。
参加した旅行会社の中にはすでに個人旅行の手配をおこなっていたり、パッケージ商品造成や販売に動き出しているところもある。さらに「100~200人規模のインセンティブ旅行も動き出している。旅慣れたFITは大体6月くらいから、グループ旅行は夏休みから9月頃には動き出すのではないか」とは、フランス観光開発機構在日代表フレデリック・マゼンク氏の見通しだ。
コロナ禍、さらにはウクライナ危機などで、消費者の安心・安全への意識は以前にも増して高まっている。航空運賃の高騰や、密を避けた小グループ化などでパッケージ商品の高額化も予想され、商品には価格バランスに見合うクオリティも一層求められることになる。マゼンク氏は「フランスはクオリティの点など消費者ニーズに応えられる高品質な素材を提供できる。そのためにも、現状のフランスについての情報をよりしっかりと伝え、旅行会社をサポートしていきたい。これまでの3年間、オンラインでセミナーなどを実施してきたが、今年からはフランスから関係者が来日してのオフラインでのプロモーション機会も増やしていきたい」と意欲的だ。
日本の水際対策が今後どう変化するか、新型コロナウイルスが今後どのような影響をもたらすのか、予断を許さない状況は続くが、世界市場は確実に動き始めている。パリやナントをはじめとするフランス各地では、店先や博物館などの施設、公共交通機関の入り口や乗り場など、いたるところに消毒用のジェルが設置され、特に地下鉄やバスの車内ではマスクを着用している人々が圧倒的に多いことに驚いた。情報や手順をしっかり押さえることで、少しずつでも市場は動かしていけるだろう。今後も関係諸機関の情報を注視しつつ、まずは旅行意欲の高い層に訴える商品造成を図りながら、日本も仕切り直しの一歩を踏み出したい。
「美食の渓谷」で広域プロモーション
RVEFの記者会見では「美食の渓谷」協会による、食をテーマとした広域プロモーションが発表された。これはソーヌ川からロワール川流域一帯が形作る一帯を一つの文化圏とみなし、河川流域で育まれたワインや食、チーズ、さらにはその地にまつわる生活文化を広く紹介しプロモートしていくというもの。
流域沿いのブルゴーニュ・フランシュコンテ、オーヴェルニュ・ローヌアルプ、プロヴァンスの各地方がこの地域を構成し、ディジョン、リヨン、マルセイユが主要都市となる。オーヴェルニュ・ローヌアルプ地方観光局局長リオネル・フラッスール氏は「レストランやワイナリー巡り、生産者訪問などを通して、より奥深い文化に触れていただきたい」と語っている。
取材:西尾知子