ニュージーランド、モンチー最高責任者が来日、環境や文化に関心を持つ質の高い旅行者の誘客へ
ニュージーランド政府観光局(TNZ)はこのほどジャシンダ・アーダーン首相とともに経済ミッションとして来日したニュージーランド政府観光局のレネ・ド・モンチー最高責任者が旅行メディア向けに会見を開き、5月の同国国境再開に向けた受け入れ態勢や方針について説明した。
ニュージーランドが5月2日から日本などビザ免除国との国境を再開したことを受け、モンチー氏は、観光は同国の経済のみならず、社会や文化、環境の面でも恩恵があるとその重要性を説いた。同時に、観光のあり方も将来変わっていくとし、環境や人を守るティアキ(Tiaki)の価値観が根付くニュージーランドでは、訪問者に対しても「環境や文化に関心を持ち、新しい場所や体験を厭わず、土地やコミュニティに配慮すること」が期待されているという。
なかでも日本人に体験してほしいものがマオリ文化で、訪問者へのホスピタリティを表すマナアキマヌヒリ、土地の守護であるカイティアキタンガといったマオリの世界観がニュージーランドの文化を特別なものにしていると説明。モンチー氏はマナアキタンガというマオリの精神はまさに日本のおもてなしの心と同じ概念であり、自然への敬意など「両国は共通の価値観を共有している」と述べた。
同局では集客ターゲットをハイクオリティビジターに定めており、モンチー氏はその定義を「消費額の高さだけではなく、参加するアクティビティや時期、訪問地において、環境に配慮し、土地の文化を尊重する訪問者」と解説。日本も含まれているとした。
さらに同局では、景観の美しさや移動のしやすさといった合理的要因でなく、理屈抜きにニュージーランドを好きになってもらうために、旅の動機につながる消費者のマインドセットをマーケティング調査しており、モンチー氏は「ニュージーランドで素晴らしい体験をしてもらうために、日本人旅行者の興味と現地で提供できる素材をうまくマッチングしていきたい」と話した。
手続きが複雑なコロナ禍で旅行会社の重要性
モンチー氏は日本市場について、1973年に英語圏以外で同局がオフィスを構えた最初の国で長い信頼関係があり、生涯価値も高いと市場の重要性を強調。「コロナ前の日本人訪問者は70%が旅行会社経由であり、手続きが煩雑なコロナ禍において、訪問者への指南や情報提供など旅行会社が果たす役割は極めて重要」と、旅行会社を通じた取り扱いの増加に期待を寄せた。
現在週1便で運航するニュージーランド航空(NZ)の成田/オークランド線も7月4日から週3便になり、現地の夏であるピークシーズンに向けて増便も期待される。モンチー氏は今後のPR活動として、ニュージーランドの定番以外の多様性に加え、星空観測のような日本人に人気の素材もアピールする考え。「コロナ禍の2年間もブランドプロモーションを実施したが、国境が再開し、予約につながるPRに転じるときとなった。ニュージーランド航空や旅行会社などのパートナーとプロモーションを実施していきたい」と誘客への意欲をみせた。
ワクチン接種者は入国時の隔離不要に
同局日本局長の猪膝直樹氏からは最新の渡航条件について説明。5月2日からワクチン接種者は到着時の隔離なく入国できるが、ワクチン2回の接種証明と陰性証明が求められ、ニュージーランド渡航者向けオンライン申告であるNZTDにアップロードが必要。陰性証明の検査はPCRなら出発48時間以内、RAT(抗原検査)やLAMP法は24時間以内のものとなる。加えて、NZeTA(電子渡航証)のオンライン申請(モバイルからは9NZDドル、PCは12NZDドル)、35NZDドルの国際観光税(IVL)の支払いも必要だ。機内での入国カード記入も引き続き行われる。
到着時は無料の検査キットが渡され、到着時と到着5日目または6日目に自身でRATを行う。これらは現時点での政府からの要求であり、モンチー氏は「今後変わる可能性もあり、変更があれば旅行会社等を通じて迅速に伝える」とした。
滞在中の行動制限はないが、日本への帰国時に提出するPCR検査の陰性証明を現地の病院等で取る必要がある。なお現地では感染警戒レベルが4月14日から引き下げられ、オレンジの段階。公共交通機関やスーパーマーケットなど屋内ではマスク着用が必要だが、ほかは任意。野外ではマスクは不要だという。