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【シンガポール現地レポート】ポストコロナのシンガポール旅行はサイクルツーリズム?

  • 2022年4月20日

 シンガポール在住11年目の石原真です。今年2022年はシンガポールの現地レポートを4回に分けてお送りします(前回のレポートはこちらより)。世界的に見てもコロナとの共存の方向性がメインストリームになってきており、今年こそは旅行業界にとって回復の年になると信じてらっしゃる方々が多いのではないでしょうか。シンガポールはいよいよ4月1日より水際対策を一気に緩和し、ワクチン接種済みを条件に観光目的でも隔離なしで入国できるようになりました。そこで今回は、今までとは違ったシンガポール観光の楽しみ方「サイクリング・イン・シンガポール」を提案したいと思います。

シンガポールは空前のサイクリングブーム

 今、シンガポールに来ると自転車の数の多さに気づくと思います。観光地、公園、繁華街、住宅街など、自転車を見かけないエリアを探す方が大変かもしれません。コロナの影響で国外に自由に旅行できなくなった過去2年間で、老若男女誰でも気軽に楽しめる大人気な国内レジャーになったのがサイクリングです。私自身も友人から誘われ、気分転換や運動不足を解消する為に思い切って折り畳み自転車を昨年8月に購入しました。気づけばほぼ毎週末サイクリングに出かけています。そんな中、シンガポールはサイクリングに非常に適した国であると感じ、シンガポール人や国内居住者に限らず今後シンガポールを訪れる観光客へも新感覚の移動手段や観光アクティビティになり得るのではないかと思い、今回はこのテーマに決めました。

サイクリング・イン・シンガポール

 では、シンガポールが何故サイクリングに適しているか?私は以下のように考えています。

メリット
●インフラ(特にPCN遊歩道)が発達している(後述)
●国がコンパクト
●起伏が緩やかで坂道が殆どない
●歩道の走行可能(観光客には安全)
●公園が多い
●治安が良い
●雨はスコールが多くすぐ止むことが多い

デメリット
●日中はかなり暑い
●自転車レンタルできる箇所がまだ多くない
●初心者の車道走行は注意

 公共交通手段やライドシェアのアプリの利用が発達しているシンガポールですが、上記の理由から自転車も十分に観光における移動手段であったり場合によっては観光アクティビティになり得ると感じています。

 シンガポールのThe Land Transport Authority(通称LTA、日本の国交省にあたる)のデータによると、現在シンガポールには約460Km相当のサイクリング可能な遊歩道が既にあり、2023年には800km、2030年までに1300kmまで延伸すると発表されています。東京23区ほどしかない国土面積に本州縦断相当分のサイクリンコースを完成させるということなので、国としてもサイクリングを推進していることが感じられます。この遊歩道は一般的にPCN(Park Connector Network)と呼ばれており、下記が現在の国内ネットワークになります。

The Land Transport Authorityより引用

 もちろん赤や緑のPCN遊歩道以外も自転車通行は可能なのですが、観光スポットの多い東部は既にかなり開発されているのがお分かりいただけると思います。例えばシンガポールの代表的なシンボルであるマーライオンやマリーナベイ・サンズのあるマリーナ・ベイ地区から北東部のチャンギ空港第2・4ターミナルまではPCN遊歩道で完全に繋がっています(片道約20km)。また、住宅街のある西部Jurong地区、北部Woodland・Yishun地区、北東部Punggolや東部Bedok/Tampines地区とも遊歩道で中心部とほぼ繋がっています。政府としては交通量や渋滞の緩和、エコフレンドリーで持続可能な国家の発展を目指す方針を打ち出している為、このようなサイクリングコースの開発も納得できます。

LTAのサイトより引用

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